映画・テレビ

第23回東京国際映画祭(Day 9)

TIFF最終日です。

『重慶ブルース』の当日券を買うため、

気合入れて早起きしたのですが、

シネマートの開場時間に並んだのは10人足らず。

1本目に合わせて来ても、買えたみたいです。

1日シネマートだったので、最終日っぽいことのない鑑賞でした。

○ハイファ

【ディスカバー亜州電影】という過去の作品を見直す企画。

今年は黒澤明監督生誕100年記念ということで、

黒澤作品の影響が感じられるアジア映画の特集となっていました。

この作品は1996年にパレスチナで撮影された作品。

2年前にもラシード・マシャラーウィ監督特集で上映されました。

故郷を追われて精神に異常をきたした中年男ハイファ。

町の名を叫びながらキャンプ内を徘徊する彼を狂言回しに

難民キャンプの人々のドラマをおかしく、物悲しく描いていく。

『どですかでん』の六ちゃんの中東版リメイク(?)。

フィルムの状態が良くなかったのが、多少気になりましたが、

なかなか見ごたえのある作品でした。

○逃亡

『七人の侍』をオマージュした1984年の台湾映画。

古代の中国を舞台に、山賊側から描いた物語。

農村を襲った山賊が、村の娘を人質に取ったことから、

やがて恋に落ちていく。

男は農夫となり女と暮らすことが出来るのか、

それとも、盗賊としてしか生きることが出来ないのか。

すごくオーソドックな構成でしたが、

キャラクターとかもコミカルな味付けがしてあって、

黒澤映画っぽいかなぁ、と思って観ていました。

○重慶ブルース

『北京の自転車』のワン・シャオシュアイ監督のカンヌのコンペ出品作。

どうしてもチケットが手に入らなくて、当日券に並んだのですが、

その価値ありました。

別れた息子がショッピング・モールで人質立籠事件を起こし、

警察に射殺されたことを知ったリン船長は、14年振りに重慶を訪ねる。

真相を究明するため、関係者を訪ね、事件の経緯を聴いて回るが、

リン船長は息子の顔すら思い出すことができない。

まず重慶という町が面白い。

高層マンションが立ち並んでいると思えば、

昔ながらの汚い町並みで生活している。

麻雀する老人、クラブで踊りまくる若者。

古いものと新しいもの、変わりゆく中国の今を感じることが出来る。

一種の謎解き物なのだけど、

親友、被害者、恋人、そして、射殺した刑事の証言を聞くにつれ、

不可解な事件だったことが浮き彫りになってくる。

『ブッダ・マウンテン』で今ドキの若者を演じたファン・ビンビンが、

人質となる女医をしっとりと演じていて印象に残りました。

彼女は『ブッダ・マウンテン』で最優秀女優賞を受賞。

『ブッダ・マウンテン』も最優秀芸術貢献賞を受賞しました。

【アジアの風】部門では、『虹』が最優秀、

『タイガーファクトリー』がスペシャルメンションを受賞。

2作品共、印象深い作品だけど、割と意外な感じもしています。

「映画漬けの1週間」ということで、今年も15作品を鑑賞。

この間に公開された作品は観ていない訳で、

毎年そのリカバーが大変ではあるのですが、

祝日の3日(水)から攻めて行こうと思っております。

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第23回東京国際映画祭(Day 8)

ずぶ濡れの服を着替えて六本木へ移動。

TIFF8日目です。

今日は『海炭市叙景』のチケットも持っていたのだけど、

台風だし、大荷物なので、一般公開まで待つことに。

と言う訳で、1本、『隠れた瞳』を鑑賞しました。

○隠れた瞳

軍事独裁政権の末期のアルゼンチン。

厳格なエリート養成のための高校の女教師。

若くて生真面目な彼女は、生徒の監視役を命じられる。

男子生徒がトイレで喫煙しているという思い込みから、

男子トイレの個室に隠れてのぞき見するようになってしまう。

担当するクラスの男子生徒の着ける香水の香りを嗅いだことから、

次第に彼に惹かれて行き、欲望に逆らえなくなっていく。

そんな彼女に生活指導主任の先輩教師も近付いてくる・・・。

主人公の堅くて、キビキビした動きが緊張感を与えてくれる。

加えて、天井の高い校舎や白と黒のタイル張りの中庭など、

高校の建物が良い味を出していた。

主人公は母親と祖母と3人暮らし。

特に祖母には恋愛指南を受けるなど、

素の部分が感じられるシーンでした。

でも、水泳の更衣室でのエピソードとかは、

少しやりすぎなような気もしますが・・・。

アルゼンチン映画って、それほど観る機会はないけど、

なかなか楽しめました。

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第23回東京国際映画祭(Day 7)

○赤とんぼ

シンガポールで普段は美術講師として働く25歳の青年監督。

短編映画ではベルリン映画祭に出品した実績のある彼が、

初めて撮った長編作品。

日本人留学生が出てくるのですが、

日本人にとっては外国のはずなのに、何故か懐かしい、

ノスタルジックな世界が広がります。

NYで画家として成功し、個展のために帰国したレイチェル。

祖母の家や高校時代の同級生・ティエンとの再会に、

かつての記憶を振り返る。

大人になったレイチェルの視線の向こうに、

子供の頃の彼女が共存するという映像が新鮮でした。

高校時代、廃線となった工業用列車の線路を辿って、

森の中をひたすら進むレイチェル、ティエンとジュン。

ティエンが彼女を好きなのはバスを待つベンチで分かるし、

レイチェルもお姉さん的な存在としてジュンに接している。

初恋未満の甘酸っぱい記憶も揺さぶられました。

大人になった現在、ティエンは今も彼女が好きみたいだけど、

レイチェルはNYを中心に世界中を飛びまわっている。

ジュンに至っては、二人と絡むことなく、別の場所で生きている。

この10何年間で、大きく変化したシンガポールという国。

子供の頃の思い出の場所がなくなっていることもある。

それは3人の関係の変化に重なっているのかもしれない。

加えて、そもそも人の記憶なんて、その人の都合が良いように、

勝手に書き換えられるもんだしね。

それでも、変わらないものもあると思う。

3人が進む森がジュラシックパークみたいに見えた瞬間があって、

そこで赤とんぼが飛んでいたのだけど、

きっと、とんぼって、恐竜の時代から変わらず居たんだよな、

と思ったら、スゴイことだなぁ、と思いました。

赤とんぼは変わらないもの、変わって欲しくないものの、

象徴のような気がしました。

次回作には、他民族国家のシンガポールの歴史をテーマに

題材をリサーチ中ということでした。

25歳の青年だけど、侮れませんよ。

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第23回東京国際映画祭(Day 6)

○エッセンシャル・キリング

ヴェネチア映画祭で審査員特別賞と、

主演のヴィンセント・ギャロが男優賞を獲得した作品。

主人公は冒頭で米軍のミサイルの直撃を受け、

耳が聴こえなくなってしまった上、

ヨーロッパの森が舞台なので、セリフがない!

表情と動きとうめき声だけで全てを表現します。

アフガニスタンで米兵を射殺したテロリストが、

欧州(ポーランド、ノルウェイの辺り?)の施設に収容される。

移送中にトラックが崖から転落。

投げ出された彼は森の中へ逃げる、逃げる、逃げる。

そして、たった1人の脱走者を死に物狂いで追う米軍兵。

全く説明がないので、想像するしかない。

夢の中に出てくる生まれたばかりの赤ん坊を抱く青い服の女。

生きるために木の皮や虫(貴重なタンパク源)を食べ、

必要があれば殺人も厭わない。

唯一、心を交わすことになるのも聾唖の女性。

何だか分からないけど、大自然と格闘する姿に圧倒されました。

○タイガー・ファクトリー+インハレーション

今回のTIFFは東南アジアからの作品が少なかったので、

このマレーシア映画を入れてみました。

早稲田大学の研究室が制作に参加している珍しい作品。

日本行きを夢見る少女の叔母は裏社会を仕切るやり手婆。

少女は不法就労者の子供を産んで売る仕事を回してもらう。

『タイガー・ファクトリー』とは「赤ちゃん工場」という意味。

少女は普段は養豚場で働いていて、

雄豚の精液を搾り取り、瓶詰めにして冷凍保存し、

時期を見て、雌豚に注入するのだけど、

まさに同じ扱いなんですよね。

しかも、このやり手婆、姪のことを気をかけている振りをして、

彼女のことも騙していた・・・。

併映された短編『インハレーション』は、

少女の親友を主人公にしたスピンオフ作品。

一足先に日本へ密航したものの1ヶ月で強制送還されてしまう。

本編の方で毎日電話していたのが、突然消えてしまうのだけど、

両方を観て、謎が解けるという仕組み。

ここから抜け出たいけど抜けられない、

やり切れない感じは良く出ていたのではないでしょうか。

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第23回東京国際映画祭(Day 4)

昨日のチョン・モンホン監督のティーチインの時は、

まだ報道されていなかったのですが、

初日のグリーンカーペットにビビアンとか台湾勢がいないから、

おかしいなぁ、と思っていて、

何だか大変だったみたいですね。

4日目は夕方から1本の鑑賞でした。

本当はモンゴルのドキュメンタリー『夏の草原』とかも、

興味あったのですが・・・。

○海の道

フィリピンの映画祭でグランプリを受賞したという情報だけで、

気軽に選んだ作品だったのですが、

鈍器で頭を、ガツンっと、殴られたような衝撃作でした。

フィリピン南部にあるミンダオナ島。

イスラム教徒とクリスチャンの衝突の耐えない貧しい村では、

より良い生活を求めて、ボートで国境を越え、

マレーシアのボルネオ島に密航しようとする人が絶えない。

捕縛される危険を冒しても、その後の保障は何もないが、

両親のいない9歳の少女も兄と一緒に渡ろうとしていた。

密航の斡旋人は、直前に売春宿に引き渡すはずの

女達に逃げられてしまう。

もう一人の売り飛ばされる少女は、

ブランド物を着飾った年増の売春婦に憧れる。

そして、小さなボートに肩寄せ合って、夜の海を進む。

プロの俳優は斡旋人と年増の売春婦だけで、

地元の方言をネイティブに話せるという条件で選んだという。

彼らは実際に孤児や密航船の乗組員、密航経験者と、

役柄と同じバックボーンの人達なので、演技が非常に自然。

ドキュメンタリーを観ているみたいだなぁ、と思ったら、

監督はドキュメンタリーを撮っている方で、

フィリピン政府の主催する映画祭の奨学金を元手に、

この作品を制作したそうである。

フィリピンを代表する女優のマリア・イザベル・ロペスの

セクシー路線を目当てに駆けつけた親父世代が多かったのですが、

「お金じゃなくて、脚本に惹かれて、

 インディーズとか関係なく、出演したかったから」

と片言日本語交じりで話していました。

現在は学校等の教育素材として上映ツアーをしていて、

都心のシネコンで上映したのは初めてとのことでした。

映画と全く関係ありませんが、

女優のルビー・モレノが社長と一緒に来場していました。

色々、話題になっていますが、

久し振りに彼女の作品が観てみたいなぁ、と思いました。

明日はTIFF鑑賞を1日お休みします!

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第23回東京国際映画祭(Day 3)

今日は有給休暇でTIFFに来ました。

ヒルズの当日券、結構準備してあるみたいですね。

さすがに『男たちの挽歌』は開場十数分で完売しただけど、

午後からの作品なら列がなくなっても大丈夫だったみたい。

3日目はアジアな3本です。

○台北カフェ・ストーリー

台湾電影ルネッサンス2010の1本。

グイ・ルンメイ主演のカフェを舞台にしたオシャレな作品。

適当なカフェがなかったので、古い家を改装してセットを作り、

撮影後は本当のカフェとして営業しているそうです。

ドゥアルは趣味が高じて、叔母が経営するカフェを譲り受ける。

コーヒーとスィーツの香りで満ちあふれた、

居心地の良い空間になるはずだったのに・・・。

オープニング記念に友人達が持ち込んだガラクタたち。

妹のチャンアルは、勝手に客と物々交換をし始める。

やがて、それが店の最大の呼び物となってしまう・・・。

繊細な描写と、姉妹と母親が繰り広げるガールズ・トークに、

女性監督を想像していたら、男性の監督でした。

何でも女系家族だったので、描写しやすかったのだとか。

姉妹が主役で、ルンメイの出演することは決まっていたそうだ。

今までならば妹役でも良かったのだけど、

映画デビューとなるCMタレントのリン・チェンシーが妹役。

自転車でビラを配るシーンは10年前のルンメイと同じ衝撃!

『海角7号』に続き、中孝介君が出演。

今回は『ふるさと』で物語の世界を膨らませます。

台北はカフェだけを集めたガイドブックが出来てしまう街。

映画を観ていて、台北に行きたくなってしまいました。

ジャズっぽいBGMもグッドでした!

○四枚の似顔絵

台湾電影ルネッサンスのもう1本は、一転、芸術性の高い作品。

台湾の一つの都市に限定せず、

全島でロケし、美しい自然を散りばめたという風景は、

どこか懐かしい、郷愁に満ちた映像でした。

中国・台湾・日本の歴史という背景があって、

中国本土から台湾にやってきた人達の厳しい現実、

そして、児童虐待など、扱うテーマは暗く、重たいものばかり。

登場人物は、小悪党から小市民を演じる大悪人まで悪い奴ばかり。

それでもユーモアに富んだセリフ回しがあり、笑えるのだけど、

それが更に厳しい現実を浮き彫りにする。

10歳のシャンは、入院していた父親が死に、

自分を捨てた母親に引き取られることに。

そこには、母親と一緒に家を出たはずの兄はおらず、

再婚相手となる継父と生まれたばかりの赤ん坊がいた。

小学校の用務員、町のチンピラとの交流の中で、

人生に希望を見出していくシャンは、絵を描くことで癒されていく。

しかし、行方不明の兄が夢に出てきたことから、継父との関係が・・・。

暗い話であることは想像していたが、

物語が進むにつれて、やり場のない憤りだけが募っていきました。

共産主義から追われた世代の用務員は故郷である上海に帰り、

不法滞在紛いの出稼ぎから市民権を得た母親の世代は、

帰るなんて考えることもないそうです。

全ては生きるために。

すごく悲しく、強い決断なのだと思うけど・・・。

主演の少年は、演技経験のない子から抜擢したそうだけど、

その真っ直ぐな強い目力が魅力的な男の子。

台湾金馬賞の主演男優賞に史上最年少でノミネートされたそうだ。

その他に7部門のノミネートで、結果が楽しみですね。

○恋の紫煙

邦題のセンス、イマイチだと思ったのだけど・・・。

TIFFではお馴染み、香港のパン・ホーチュン監督の新作。

今回はスクリーン2と広めな会場の上、16時台スタートでしたが、

席、埋まりましたね~。

ティーチイン後も、映画館の外でサイン攻めで、

ストロボが消えることがない状態でした。

皆、待ち焦がれていたんですね。

禁煙法の成立で、室内での喫煙が出来なくなった香港では、

路地裏の喫煙スペースが井戸端会議の場となっている。

絶対に出逢うことのない人達の出逢いの場となっているのは、

日本も同じだと思うが、

煙草を吸わない監督が、そこに目をつけたというラブコメディ。

いかにもありそうな展開だけど、パン監督が

割と直球なラブストーリーを撮ったのが、正直意外でした。

でもファーストシーンはスタッフクレジットを含めてホラー調。

まんまと騙されます。

化粧品販売員・チョンギウは、職場の2ブロック先の喫煙コーナーで、

年下の広告マンのジーミンと出会い、親しくなる。

恋人をフランス男に取られたばかりと噂される彼に興味を持つが、

恋人が二人の仲を嫉妬したことから、同棲を解消し、

急激に接近することになる。

ミリアム・ヨンが年上のイケイケ姉さんを活き活きと魅せ、

口は悪いが本根を語るのは苦手な青年をショーン・ユーが

ナイーブに演じます。

パン作品って、バイブレイヤーを主演においてってイメージだったけど、

これはこれで非常にポップな感じが出ていて面白かった。

恋が始まる瞬間を感じる男女差とか、

女が本気になると、どんなに彼女を好きでも男は引いちゃう、とか、

有りですね。

香港では、過激な暴力や性表現もないのに【18禁】となったそうです。

ジーミンのセリフが教育上、好ましくないという理由だそうだ。

同じ言葉を前々作『出エジプト記』でも用いたと食い下がったところ、

激昂して思わず発してしまった汚い言葉と、

普通のテンションでヘラヘラ言うのとでは意味合いが違う」らしい。

「だったら、違う演出にしたのに・・・」とオチャメな監督なのでした。

現在は北京で創作活動中とのこと。

来年も絶対に逢いましょうね!

そんな感じで、今年も会社を休んでも悔いのない3作品でした。

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第23回東京国際映画祭(Day 2)

TIFF、2日目。

昼過ぎ、アリーナでアニソンの女王・堀江美都子さんの

ライブがやってました。

デビュー40周年だそうだ。

10代の頃からアニソン歌っていたから・・・。

「こら、逆算しないの!

 昔は“生まれる前から歌ってます”とか言ってました。」

と、自分でもギャグにしていたけど、若い!

アニソンは1曲1曲がテーマが重たいので、

ライブをやると楽しいけど、疲れるらしい。

でも、だからこそ若さを保てているそうだ。

『ひみつのアッコちゃん』、『花の子ルンルン』、

そして、『キャンディ・キャンディ』。

懐かしかったですね。

さて、2日目に観たのは3本でした。

○ビューティフル・ボーイ

息子が大学進学で寮に入り、別居を考えている夫婦。

夫は仕事一筋で家庭を顧みないエリート会社員。

妻も小説やルポの校正家として自立している。

ある朝、息子が通う大学構内で銃乱射事件が発生。

両親に届いた報せは、想像を絶するものだった・・・。

空中分解した家族・夫婦の絆の再生の物語なのだけど、

さっきまで罵倒していたと思ったら、

家庭内別居だったのが嘘みたいに慰め合い、

夫婦の感情のままに展開していくのが逆にリアルでした。

結局は、男は繊細で、女の方が強いってことですかね。

名優マイケル・シーンの演技は流石です。

○ドッグ・スウェット

TIFFで何本かイラン映画を観ましたが、今までにない作風です。

テヘランに暮らす6人の男女の群集劇。

従姉の夫と不倫をしている妹は母親に外出禁止にされる。

彼女の兄は恋人と二人きりになれる場所を求め、町を歩き廻る。

ゲイの青年は、違法のポップスを歌う女性歌手と見合い結婚をする。

交通事故で母親を亡くした青年はイスラム原理主義を非難する。

そこには我々と変わらない青春がある。

テヘランでゲリラ的に撮影したそうだ。

父親に内緒で出演していた主演女優の一人のために、

急遽ラストシーンが書き換えられたそうで、

そんなこともドキュメンタリータッチな作風に拍車を掛ける。

若者をメインにした作品ではありますが、

娘を嫁がせて安心した老いた母親が、

混乱の中、イラクへ巡礼の旅に出るエピソードに、

オバチャンのパワーは何処も変わらないなぁ、と印象に残った。

題材的に本国での上映の可能性はなく、

各国の映画祭に招待されて、イランの実情を見せていくのでしょう。

○ブッダ・マウンテン

チケット発売の前々日に上映が発表された作品。

「観たい!」と思い、鑑賞予定作品の組み換えをしました。

四川省成都。ディン・ボーと太っちょは、大学受験に失敗し、

田舎から出てきた飲み屋のシンガーのナン・フォンと

毎日ダラダラと過ごしていた。

再婚した父親と折り合いの悪いボーは、

フォンのことが好きなのに、素直になれない。

アパートの取り壊しが決まり、

3人は京劇街に住む京劇歌手のチャンの家をシェアすることに。

気難しい大家のチャンには、3人に隠している過去があった。

若者の青春物語に、中年女性の深い心の傷が絡まり、

大地震から復興する成都の光景の中で描かれる。

少し白く飛ばしたフィルムの色が、

暑い大陸の夏のハレーションを表現していた。

時折挿入される観念的というか、PVっぽい映像も効果的。

水墨画のような風景も魅力がある。

主人公のチョイ悪な普通の若者を演じたチェン・ボーリンは、

短髪で、若々しいイメージ。

台湾人なので、四川訛りのセリフに苦労したそう。

そして、チャンを演じたシルヴィア・チャンの重厚な演技が良い。

重たい過去を抱えた暗い表情から、

若者と生活することで救われ、表情も明るくなっていく。

ラストの彼女の笑顔は、まさに悟りの境地の表情。

見事でした。

受け取り方は人それぞれだと思うけど、

僕は再生の物語と受け取りました。

ボーの父親も演じたプロデューサーも、

「結局は『愛』だと思う。

 仏教には『転生』という考え方があり、

 東アジアの私達には共有できる概念である」

と話していました。

本当に今日の上映がワールド・プレミアでしたが、

一般公開するなら、もう一度じっくり観てみたい作品でした。

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第23回東京国際映画祭(Day 1)<2>

長くなったので、一旦、切りました。

1日目に観たのは、アジアの風の中から韓国映画を1本。

○虹~Passerby #3~

韓国の映画制作の現場を舞台にした女性監督の作品。

教師を辞めて、憧れの映画監督を目指す主婦が、

映画会社、投資家に何度もシナリオにダメ出しされながら、

自分が本当に撮りたい映画を見つけ出すまでが描かれます。

元教師の女性監督で、音楽をテーマにした脚本が没になった、

という自身の実体験を約1/4程、織り込んだそうだ。

英文タイトルは中学生の息子がポツリと言う

「通行人3の役で映画に出たい」というセリフから。

「ドラマティックな展開がなくても物語はある」というのは、

割と好きな作風だな。

韓国音楽シーンでロックバンドはメジャーのジャンルではないが、

そのアングラ感が、作品の世界観に合ってしました。

監督はプロデューサーと音楽監督も担当しているそうで、

音楽以外の音にもこだわったそうです。

韓国で上映したバージョンでは5.1ch対応のプリントだそうだ。

そして、現在、一度没になった音楽映画の企画が、

別の映画制作会社で進行中なのだとか。

映画の中で「韓国では監督デビューが出来ても、

二作目を撮るのが大変」という

韓国の映画業界の状況を語るセリフがあったが、

是非、企画を実現させて、また東京に来て欲しいですね。

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第23回東京国際映画祭(Day 1)<1>グリーンカーペット

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都営地下鉄大江戸線で1駅。青山から六本木へ。

本日より恒例の東京国際映画祭が開幕です。

初日はやっぱり恒例のけやき坂でのグリーン・カーペット。

15時スタートですが、僕が着いた14時30分前には、

カーペットに沿って二重三重の列が出来ていました。

TIFFの顔とも言うべき、木村佳乃と杏の2人の開幕宣言からスタート。

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家に帰ってから知ったのですが、ヒガシと入籍したそうですね。

大胆なスリットの入ったシックな黒いドレスで綺麗でした。

オレンジのドレスの杏も格好良い!

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MCは8年連続のジョン・カビラ&クボジュンです。

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今回は大橋のぞみチャンとか子役タレントの活躍が目立ちましたね。

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日本映画では特別招待作品『白夜行』。

掘北真希は小さくて、可愛かった。

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主演作の続く高良健吾君は茶髪でした。

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今はどんな作品を撮っているんだろう?

アジア関係では、コンペに最後に滑り込んだ『ブッダ・マウンテン』。

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チェン・ボーリンは『藍色夏恋』、『台北に降る雪』に続き3本目。

久し振りの来日ですが、インタビューでは日本語で答えていました。

韓国からはキム・ユンジンが来日。

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ウエストが折れそうな位、細かった!!

最近は米国ドラマで一気にブレイクした彼女、

流暢な英語で挨拶していました。

一番声援が大きかったのは、和央ようか。

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ヅカ・ファンが大挙押し寄せました。

(でも、マナーの面で周囲から大ヒンシュク・・・。残念です。)

今年は沿道に近付いて、サインや写真に納まるサービスも。

3D作品の『トロン』チーム、鶴瓶師匠、藤原紀香が気さくでした。

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紀香の直後にカトリーヌ・ドヌーブというのがスゴイ。

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南果歩さんは「渡辺謙さんとレッドカーペットの常連」と紹介されました。

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審査員のジュディ・オングもピンクのドレスが印象的。

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『春の日は過ぎ行く』で最優秀芸術貢献賞を受賞経験もある

韓国のホ・ジノ監督も審査員です。

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ラストはオープニング作品『ソーシャル・ネットワーク』チーム。

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毎年のことだけど、始まるんだって、ワクワクしますね。

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オススメ!映画紹介『プレシャス』鑑賞

Precious

サンダンス映画祭でグランプリに輝き、アカデミー賞でも話題になった問題作。

1987年のニューヨーク・ハーレム。16歳の少女クレアリース・プレシャス・ジョーンズは、両親の虐待を受けながら希望のない日々を生きていた。
自分の父親の二人目の子供を妊娠したプレシャスは中学校を退学処分となり、フリースクールに通い始める。
代替学校【イーチ・ワン・ティーチ・ワン】で、自分と同じように悲惨な境遇にある仲間たちや女性教師レインと出逢い、読み書きを習い、つたない文章で自分の心情を綴り始めたプレシャスは、ひたむきに人生の希望を見出していく。

公開に先駆け主役のガボレイ・シディベが来日し、インタビューに答えている映像を幾度か見ました。

アメリカの街中で良く見かけるような大柄な女性。

俳優になる気なんて全くなかった彼女が、正にはまり役といった感じ。

自分に自信が持てなくて、生きる意味の分からなかった少女が、母親として強く生きる意志を固めていく。

新聞記事で読んだのだけど、キャンペーンで各国に行ったが、必ず「NYのハーレムだから起こった悲劇」として取り上げられたけれど、日本だけがその手の質問がなかったそうである。

ビジュアル的にあの街にピッタリはまるけど、別にどこの国の、どこの街に起きても不思議のないストーリーではある。

助演女優賞を獲得したモニークが演じる母親メアリーは、プレシャスを虐待する悪役であるけど、すごくかわいそうな女性で、肯定することは出来ないけど、ある意味では彼女も被害者なのかもしれない。

実は訳アリな素顔を隠し、プレシャスと表裏一体な要素も持ちながら、正反対な理知的な女性として描かれるレイン先生を演じたポーラ・パットンは魅力的でした。

スーパースターというオーラーを消して、ソーシャルワーカーという地味な女性を演じたマライア・キャリー、プレシャスに興味を持つ男性看護士を演じたレニー・クラヴィッツも良い味出しています。

客層は幅広かったですが、コミカルなセリフとかもあって、どなたでも楽しめるのではないかと思います。

(満足度:★★★★、オススメ度:★★★★)

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