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第22回東京国際映画祭(Day 5)

今日は、イラク北部クルド地域を舞台にした、珍しい作品に出逢えました。

○風のささやき

郵便配達夫のバルダーは、長年、イラク北部の山村を担当し、あちこちを移動してきた。
手紙を配達するだけでなく、伝聞を記録して伝えたり、ラジオ放送をトラックに付けたスピーカーから流しながら走行したりもしている。
ある日、武装ゲリラの指導者から「生まれてくる子供の産声を録音してきて欲しい」という依頼を受ける。
しかし、バルダーが彼の村を訪れると、女や子供は、遠く離れたもっと安全な渓谷へ避難した後だと知らされ、バルダーもその渓谷へと向かう。

観ていて、我々がいかに彼の地に対して無知だったかを知らされる。

物語はイラン・イラク戦争の頃なので、当然、武装攻撃を受けている。

例えば、サッカーの試合の申し込みを請け負うが、練習中のサッカー場が攻撃の対象となり、子供たちの亡骸を直接的ではない方法で突きつけられる。

「クルド人は報復による争いはしない」というモノローグを何度も繰り返しながら、「神様、復讐して下さい」というセリフが何とも言えず、胸に突き刺さりました。

「表面的には今は武力による攻撃は受けていないが、“国境”と言う名の攻撃を受け続けており、状況としては何も変わっていない」そうである。

しかし、そんな戦争に対する怒りや悲しみの中、子供の産声がラジオ放送に乗って、響き渡るのは希望の象徴です。

何だか、凄く複雑な気持ちになりました。

ティーチ・インに来場した監督も「今よりも、一晩考えた明日の朝にQ&Aをやった方が良い」と言っていたそうです。

監督はテヘラン大学の美術科でデザインを専攻されていたそうで、美しい自然の風景や結婚式の鏡など印象的なシーンも多かった。

特に、違法放送はスパイ罪になるそうですが、ラジオを修理していた男が木に括り付けられ、違法放送を聴いていたために没収されたラジオが枝に吊るされているシーンはインパクト抜群。

クルド人にとってラジオは貴重な情報源であり、それが奪われるということが、情報が操作されているということをイメージしたのでそうです。

スパイ罪容疑で捕まっても、軍人から「いつも世話になっているから、適当な時に逃がしてやる」と言われるバルダーですが、モデルはいないそうです。

男女が気軽に話せないイスラム社会で、男性から女性に話しかけることが許される職業として、郵便配達員を選んだそうです。

確かに「○○さんに郵便です」って言わないと仕事にならないもんね。

司会の女性が「イラクに生まれた監督が、イラン北部のクルド人を題材にした意味は」という質問をしました。

監督は「質問の意図が分からない。子供の時から、生まれた国とか、民族とかは関係なく、多くの人と出逢いたかった。人が国や民族を意識し、他の民族より優れているというおごりから戦争は生まれるのではないか。映画というものを通して、世界が一つの国になれば良いということを発信していきたい」というようなことを回答していました。

今回が初の長編映画だった監督は、来日前日に2作目の脚本が完成したところだそうです。

この作品でも出産するシーンが印象的でしたが、戦争時における女性の役割、歴史を変えられるのは女性である、という内容の作品だそうです。

TIFFでも中東映画を特集しだしたのは最近のこと。

たまには、こういう異文化に触れてみるのも、なかなか楽しいですね。

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