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2008年10月

愛読書!『ワーキングガール・ウォーズ/柴田よしき』

Wgw

かなり前に読んでいて、忘れていたのだけど、先日、某チェーン書店で『今年の○○書店大賞候補作品』の中に並んでいて、

「お~、読んだ、読んだ。」

と思い出した次第です。

37歳、未婚、総合音楽会社の企画部係長・墨田翔子。仕事は出来る。収入はそこそこ。でも、対人関係に難あり。仕事に疲れ、思い立ってオーストラリアにペリカンを観に行くことを決意。日系ツアー会社の契約社員の愛美、元カレの新婚旅行を尾行してきた嶺奈と、奇妙な友情で結ばれていく。

愛嬌があって、仕事もそこそこの新入社員に嫉妬してみたり、オフィスに渦巻く悪意に探偵ごっこを興じてみたり、年下の部下と恋愛と言って良いのか分からない微妙な関係に落ちてみたり。

男女の違いこそあれ、同世代、会社でのポジションも一緒、しかも、思い立って一人旅しちゃうところ、何となく共感しながら読んでいました。

意気投合した友人とも、メールでしかつながっていなくて、どっちかが行くか、来るしか逢えないところとかも、リアルで良いなぁ、と思いました。

会社では姉御肌で頼れる強い女も、本音の部分では弱いし、脆いし、グチャグチャな女の子なんですよね。

割と読みやすいので、オススメです。

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愛読書!『魔王/伊坂幸太郎』

Maou

ちょっと不思議な世界を描く伊坂幸太郎氏の連作2編を収録しています。

会社員の安藤と潤也の二人で暮らす兄弟と潤也の恋人・詩織が主人公。

『魔王』は、念じれば、それを相手が必ず口に出す能力に目覚めた安藤が、ある一人の男に近付いていく物語。

続編の『呼吸』は、5年後、仙台に移り住んだ潤也と詩織夫妻の物語。鳥の生態を調査する仕事をする潤也が、兄とは違う能力に目覚め、ある行動を開始する。

社会、経済が混沌とし、冷めた次代に現れた若き救世主と呼ばれる党首を擁する野党の大躍進。

マスコミに作られた世論に簡単に踊らされる人々の危うさと、それと向き合い、挑もうとする安藤兄弟。

特に、思慮深く、潤也に考えすぎと言われる安藤の社会を見る目の冷静さが良いなと思った。

また、事あるごとに姿を見せる、バー「ドゥーチェ」のマスターの存在は不気味です。

もう一人、愛する女性のために日本国籍を取得した英語教師のアンダーソンが世論操作の被害になるのだけど、それでも安藤に気を配ったりして、人種とか国家とかは関係なくて、やっぱり人なのになぁ、と悲しくもなってきます。

なかなか良く出来た小説だと思います。

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仙台発信のミュージックシーン

まだ押すかの仙台編です。

だって、週末をTIFFで過ごしたから、ネタがないんですもん。

てなことで、今回は時間があったので、駅前のLoftに入っているHMVへ行ってみました。

「別に仙台でCDなんか買わなくても」と言われる方もいるかもしれませんが、最近のヒットチャートを見てみると、仙台出身のミュージシャンが増えているのです。

例えば、『西遊記』の主題歌で注目されたMonky Majikや、映画『僕の彼女はサイボーグ』のHi-Fi Camp、Clubシーンで活躍中のFreeTempこと半沢武志など。

古くはハウンド・ドッグ、坂本サトルなんてのも仙台発信型でしたし、さとう宗之もそうでしたが、「最先端の音楽は仙台から」ということで、ディスプレイされているCDを見るだけでも、何か特徴があるのではないか、と睨んだ次第です。

で、試聴して選んだのが、次の2枚でした。

Sendaicollecompi

10月17日に開催されたファッションショー【仙台コレクション】のためにセレクトされた楽曲を集めたコンピレーション・アルバムです。

Daishi Danceや金原千恵子など最近のハウスシーンの王道から、島谷ひとみのリミックス曲まで、なかなか楽しい選曲でした。

そして、もう1枚は、仙台Hip-Hop界の最重要ユニット・GAGLEの新作。

Gagle_2

彼等は、メジャーレコード会社からもCDをリリースした実績があって、前作は試聴したことはありました。

1曲目のインスト曲、2曲目のイントロ部分を聴いたら、すっごい格好良かったので、今回はミニアルバムでお手軽価格ということもあり、購入してしまいました。

その他にも、仙台のミュージシャンのCDが、知っているミュージシャンから、未聴の新人まで、棚に陳列されていました。

旅先でCDショップに入って、東京では発掘できないような掘り出し物を見つけるのは、多分、僕のライフワークになるような気がしています。

もちろん海外旅行中でも、試聴&ジャケ買いで・・・。

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仙台グルメ紀行 '08秋【旨味伝承 たん助】

毎度おなじみの仙台グルメです。

毎回、【喜助】さんなので、違うところにしようと思ったのですが、駅ビル内の【喜助】の隣りの店【たん助】さんに入ってみました。

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オーダーしたのは、ゆでたんとたんシチュー。

まず、ゆでたんは、その名の通りたんを茹でたものに、長ネギを細かく切ったものとカイワレ大根が添えてあります。

酒の肴ですね。

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たれは、からし醤油、わさび醤油、おろしポン酢から選べるのですが、わさび醤油をチョイスしました。

トロ~としていて、美味いです。

普通の焼きより好きかも。

これ、わさびを乗っけて、岩塩を付けるだけでも美味しいかも。

これで550円は安いです。

そして、メインディッシュのたんシチュー。

ずっと気になっていたんですよね。

デミグラスソースに、大きく切られた牛タンが数切れ入っています。

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柔らかさでは、ゆでたんの直後に食べたので、インパクトに欠けた部分は正直あるのですが、舌のくせにこれだけの大きさのブロックであるということが、スゴイですよね。

こちらは麦飯にサラダとスープが付いて1,300円と結構良い価格ですが、美味しかったです。

やはり年に1度は仙台に来たいですね。

牛タン、最高です!!

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第21回東京国際映画祭【まとめ】

1日遅れましたが、東京国際映画祭が閉幕しました。

今年、鑑賞した作品数は17作品でした。

コンペティション   3本
アジアの風     12本
日本映画ある視点 1本
ワールドシネマ   1本

チケットを持っていて行けなかったのが3作品あります。

この中で、コンペ部門の『トルパン』がグランプリと監督賞をW受賞ということでしたね。

他の作品を観ていないので断定は出来ませんが、グリーン、エコ、環境というテーマを掲げた今年のTIFFにおいて、ヘタレ男の成長を大自然との共生というデッカイ景観の中で描いたこの作品は、ある意味で象徴的だったのかもしれませんね。

前評判の高かった日本映画『ブタのいる教室』は、観客賞を受賞。

公開が決まっていたので、チケット争奪戦に参加しませんでしたが、今朝のワイドショーでもやってましたが、プライベートで観に来ていた松ケンが、ティーチインで質問しているではないですか!

連休中に、絶対に観に行こうと思っています。

アジアの風は『私のマーロンとブランド』が受賞。

今年は、西アジア・中東からの作品が多かったので、これは納得。

僕が観た中では、『陽もまた昇る』、『ムアラフ-改心』、『生きていく日々』と、映画祭の常連監督の作品が、スペシャル・メンションに選ばれていました。

どれも監督のカラーが出ていて、オススメできる作品ですね。

日本映画ある視点は、直前に亡くなった市川準監督の『buy a suit』の受賞は、当然なのでしょうね。

謹んで、お悔やみ申し上げます。

受賞は逃しましたが、林海象監督の『THE CODE』は、面白いですよ。

(えっ!しつこいですか?)

東京国際映画祭が終わると、冬支度というか、今年は歌舞伎町のファンタもラテン音楽祭みたいな感じだし、後は有楽町でのフィルメックスが終わると、「今年も終わりだねぇ」って、気分になってしまう。

とにかく、TIFFの期間に観られなかった作品は、11月の2つの連休で消化しなければ・・・。

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トップリーグ08-09第6節!横河電機vsサントリー@仙台・ユアテックスタジアム

仙台にやって来ました。

今年、二度目ですね。

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今日は我らがサンゴリアスは、横河電機と対戦です。

先週、予想通りに(?)ヤマハに負けたサンゴリアスですが、なぜか初物に弱かったりもするので、多少心配も・・・。

その上、怪我人が相次いだりもしていて、怪我明けで今季初出場と選手も多く、試合勘みたいな部分でどうなのかなぁ、ってのもありました。

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案の定と言いますか、見事なパス回しとかもあって、ザワの先制トライがあったかと思ったら、いきなり同点トライを許してしまいました。

ムムム、嫌な予感が・・・。

やっぱりディフェンスが遅くれ気味でしたね。

前田耕平とか、相手を静観しちゃってましたし・・・。

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今日のハーフ団は、グレーガンと曽我部だったのですが、イマイチ噛み合っていなかったかな。

曽我部の位置にボールが来ない、というか、パスコースにいない。

毎回書いているけど、曽我部はキックパスとか面白いのだけど、ちゃんと繋げないと、逆にピンチになってしまっていた。

後半に、ザワに耳打ちされて、絶妙な位置にキックパスを上げていました。

結局はトライにはならず、試合後に「すみませんでした」と謝っていたみたいだけど、こういう風に狙って蹴ってくれると、もっと楽しくなるかもしれないですね。

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曽我部は後半で交代かな、と思ったら、まずグレーガンを秀悦に代えてきましたね。

前半は、横河にリードされての折り返したものの、まぁ、途中で息切れるだろうなぁ、と思っていました。

前半は縦横無尽な動きで目立っていたサモも、後半は1対1のディフェンスが対応出来てきたこともあって、動きを封鎖。

彼を目立たせずに、時間が過ぎて行き、気がつけば大量リードとなっていました。

しかし、交代選手がいないのは、結構、厳しいですね。

ライアンは、出血が止まらず、何度も何度もテーピングし直して、最後まで出場していたし、FL・瀬川に代えてバックスではオールラウンドのロッキーがNo.8をやっていました。

その後、曽我部がスクラムのスローワーになって、No.8の位置の秀悦が取ったらサイドを走り抜けたりのオプションを使っていました。

最後には、佐合との交代で、CTBに野村直矢が入り、大悟がWTBへ移動、そして、WTBの長友がNo.8になっていました。

それでも、スクラムは押していた。

スクラムは第一列だけで押せば良いのか・・・?

まぁ、勝てたから、良しとしますか。

今日のマン・オブ・ザ・マッチは、秀悦でした。

確かに、後半に交代で出てきて、試合のテンポが変わりましたからね。

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11月は強化試合となるアメリカ戦を控え、日本代表の合宿が始まりますので、再び1ヶ月ほどの中断に入ります。

怪我をしている選手は早く治して、再開の時には復帰してもらえることを期待しています。

さて、仙台ユアテックスタジアムは、新しいのでキレイだし、段差も適当にあって観やすいですよね。

まぁ、他のサッカー場と一緒で、最前列のアクリル板みたいな柵は邪魔ですけど。

今日は欠場の選手が多くて、代表クラスはザワ、ライアン位でしたが、僕の前の席にザワの写真を一生懸命に撮っているオジさんがいて、でも望遠のついてないIXYだから、誰だか分からない位の大きさにしか撮れていなくて、何だか微笑ましかったです。

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観客席とピッチの高さが違うので、色紙を吊り下げる、洗濯バサミとヒモという小道具を工夫してくる子なんかもいましたよ。

東京のファンからしてみると、地方巡業まで追いかけるのは大変なので、やめて欲しいのですが、こういう光景を見ると、地方開催も悪くないのかな、とも思います。

あ、でも、再開後は2週続けて広島、九州なんだった。

これは日程を考えて組んで欲しいかったなぁ。

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第21回東京国際映画祭【8日目】

明日のクロージングは参加しないので、僕的には最終日となりました。

今日は国際色豊な作品が並びました。

○モーツァルトの街(韓国)

インディーズ作品ということは知っていましたが、音楽に溢れた作品なのかなぁ、と臨んでいたら、やられました。

渋いですけど、結構好きかも。

蒸発して3年の夫を待つキオスクの店員。バス運転手の父と二人暮らしのピアノ調律師。昼間は借金取りのバイトをするクラブ経営者。彼の店で働く、夜の生活に少し疲れたホステス。彼が借金を取りに向かったクリーニング屋の経営者。そこで働くアフリカ系の不法就労の夫婦。そして、韓国に旅行で訪れたピアノ講師。

大都会の片隅で、それぞれに問題を抱えながら、必死に生きる人々が、途中で交錯しながら、描かれています。

観光客が目に触れることのない世界を描きたかったという監督の意図が伝わって来るし、ソウルが舞台なのだけど、東京でも、どこの都市でも成立する話だなぁ、と思いつつ、観ていました。

劇音のために、クラシックのソナタを片っ端から聴いていて、ある日、ドライブ中にラジオからモーツァルトが聴こえて来て、この物悲しい響きこそ映画のテーマにピッタリだ、とタイトルに起用されたのだそうです。

この『街』シリーズは、最低3本は続けるつもりで、この冬に2作目を撮影開始するそうです。

また、来年会いたいですね。

○スリー・モンキーズ(トルコ)

今年のカンヌ映画祭で監督賞を受賞した作品らしいのですが、いかにもカンヌが好きそうな、深い作品でした。

深夜に田舎道で轢き逃げ事故を起こした政治家の罪を被り、彼の代わりに警察に捕まった運転手。
しかし、その政治家は次の選挙で落選してしまう。
浪人中の息子が幼児の送迎サービスを始めるために車が必要となり、妻は夫への謝礼金の前払いを求め、政治家の事務所へ向かう。
ある日、父親との面会に出かけた息子は、駅で気持ちが悪くなり、家に帰って来るが、そこで、職場の研修と言っていた母は部屋で意外な人物と会っていた。
そして、9ヶ月の刑を終え、父親が帰ってくる。
しかし、掛け違えたボタンは、元に戻せない程に、複雑に絡んでいた。

スリー・モンキーズとは、日光東照宮にある「見ざる、言わざる、聞かざる」のことですね。

小さな嘘の積み重ねで、こんがらがってしまった家族ですが、全てに目を瞑って、元通りになるのか、ってことですよね。

そして、次第に、この家族の破綻は、この政治家の身代わり事件が発端ではなく、それ以前の悲しい事件にあったことも分かっていきます。

この辺の展開のさせ方は、上手いですね。

画面も全体的に、トーンを落とし、ザラッとした感じの肌触りがしました。

○世界の現状(ポルトガル)

【アジアの風】部門なのですが、これって、アジアで良いのでしょうか。

15分間の短編が6本。タイ、インド、ブラジル、中国、ポルトガル、そして再び中国(しかし、監督はベルギー人)とつないで行きます。

タイ編は、ボートの上でお坊さんがいて、多分お葬式なのでしょうか?

ほとんどセリフもなく、ひたすらに彼らの表情を追っていくだけで、最後にラオス出身の歌手が歌のような、ラップのようなのを口ずさんでいました。

インド編は、ネパールからの出稼ぎ労働者の仕事が減っていることを紹介し、それでも35年間で7回しか国に戻っていないというナレーションが印象的でした。

ブラジルに世界中の船がやって来て、汚れが酷くなってしまい、近海漁業が全滅した話しは、作品のテーマの一番分かり易い部分だったような気がします。

ラストの上海編は、大型モニターに一晩中描き出される映像をひたすら映しているだけ。

それでも、一つ前のポルトガル編が、山の上の小さなバラック小屋に小さな畑があって、ウサギを獲って生活している黒人達の生活と、余りに対照的で、何なんだ、これ?って、不思議な感覚に陥ったのでした。

明日のクロージングで、グランプリが発表されますが、どんな顔ぶれになるのでしょうか。

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愛読書!『ナイチンゲールの沈黙/海堂尊』

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『チーム・バチスタの栄光』の続編。田口・白鳥シリーズ第2弾です。

今回の舞台は小児科病棟。病棟一の歌唱力を持つ看護師・浜田小夜の担当患者は、眼の癌―網膜芽腫の子供たち。眼球摘出をせざるをえない彼らに心を痛めた小夜は、患児のメンタルサポートを、不定愁訴外来担当の田口が行なうことになった。
時同じくして、小児科病棟の問題児・瑞人の父親が殺され、警察庁から出向中の加納警視正が病院内で捜査を開始する。
末期の肝炎で緊急入院してきた伝説の歌姫と、厚生労働省の役人・白鳥圭輔も加わり、物語は事件解決に向け動き出す。

上巻の途中までは、新たなキャラクターの紹介でまったりした感じですが、愚痴外来が始まり、殺人事件が発生し、白鳥氏が登場した辺りで、俄然面白くなります。

グッチーと白鳥のコンビネーションは、最高ですね。

今回は、音楽が重要がポジションを占めています。

一つの知覚神経で、二つの感覚(視覚と味覚など)を持った人を「共感覚」ということは、映画なんかで知っていますが、それに似た能力を持った歌姫が二人登場します。

一人は聞き手の感情をビジュアル化する歌姫。

しゃがれた声で、社会への恨みを歌えば、聞いた人たちが暴力や殺人を犯し出す。

一人は歌い手の感情をビジュアル化する看護士。

天使のような歌声で、子守唄を歌えば、彼女の描く母親の笑顔に安らぎを覚える。

ミステリー、しかも本物の医療の現場を扱った作品で、どうなのかってことはあるんだろうけど、だからこそ小児科の看護士が天職だったのかもしれない小夜のキャラクターが生き、また彼女が抱える闇の部分も見えてくるのではないでしょうか。

上・下2巻ですが、読み易いので、割と一瞬で読み終わってしまいました。

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第21回東京国際映画祭【6日目】

本日は7時~16時の変則Flex勤務で、六本木へ走りました。

○クロッシング(韓国)

今回、上映作品が発表された時に、「何が何でも観る」と決めた数本の内の1本でした。

想像していた以上に、愛情に溢れ、だけど、胸がザワザワと憤りを感ずにはいられない作品でした。

北朝鮮の炭鉱町。元サッカー選手で国から勲章を受けたこともある英雄キム・ヨンスも、妻と子供と暮らしていた。
二人目の子供を妊娠した妻は、同時に結核に冒され、高価な薬でないと服用できないため、ヨンスは国境を越え、中国で薬を購入することを決意する。
脱北者の取り締まりから逃げる日々、取材に応じれば金を出すという言葉に騙され、ドイツ大使館へ駆け込んだヨンスは、亡命者としてソウルに渡り、家族の待つ北朝鮮に帰ることが出来なくなってしまう。
その頃、父親は行方不明、母親は病死という状況で、息子はヨンスの後を追って、中国に向かおうとしていたが、裏切り者の息子として強制収容所へ入れられてしまう。過酷な条件で、初恋の女の子の死を目の当たりにする。
そんな時に、家族を呼び寄せるために質素倹約な生活をしていたヨンスは、ブローカーを通じて、家族をモンゴル経由で亡命させる手配を進めていた。

もう、北朝鮮、中国朝鮮族の生活の描写が半端なかったです。

埃というか、黒い炭というか、画面全体がくすんでいました。

だからこそ、ソウルや中国の都市のきらびやかさ、ラストのモンゴルの自然の怖いほどの美しさが際立つのですが。

ヨンスは北朝鮮では英雄的なスター選手で、生活的にも保障されているはずなのですが、これで良いのか?って生活です。

やっぱり何かがおかしい・・・。

息子を演じた子役の演技が、もう本当に純真な感じで、父親を信じ切っている子供の、愛らしさ一杯で印象的でした。

この監督は、『オオカミたちの誘惑』とか撮った人ですよね。

毎回違ったタイプの作品を送り出してくれます。

硬派で、詩情豊かな表現で描く、壮絶な愛の物語でした。

シネカノンさんの資本が入っているみたいなので、ヒットする、しないに関わらず、一般公開して欲しい!

○ハーフ・ライフ(アメリカ)

こちらはロス郊外の住宅地を舞台にした家族の物語。

数年前に飛行機乗りだった父親がフライトに出たまま行方不明になり、バランスを崩してしまった、アジア系アメリカ人の母、娘、年の離れた弟の3人家族。
元医師の母は、ロッジ経営者の年下の恋人を家に上げ、姉のパムはボーイフレンドからゲイであることをカミング・アウトされる。そして、授業中も絵ばかりを描いている、空想癖のあるティムは、そんな大人たちを冷静に観察していた。
ホームパーティで、彼の恋人が弟のクラス担任だと知ったパムが、台所で母親の恋人とキスしてしまったことから、大騒動に発展していく。

登場人物の誰もが、住み難さや抑圧感を感じる街から逃げ出したい、と思っている。

そこに、家族の問題とか、ゲイの青年を登場させ、現代アメリカ社会を描いていくのだけど、TVからも環境汚染のニュースが流れていたりして、すごくリアリスティックに描かれていました。

反面、空想癖のあるティムのイマジネーションの世界として、アニメーションやデジタル画面のイラストレーションなどを多用し、ポップな感じを出していました。

プールのシーンなんかでは、赤、黄色、青とビビットな感じの色の水着で目を引きましたね。

最後まで観終えると、バランスを崩していた生活が想像の世界だったようにも思えてきて、それともやっぱり現実だったのか、非常に曖昧に描かれていたことに気付きます。

全てはホントで、ウソなのかもしれません。

でも、嘘でもないと思うのですが。

『ハーフ・ライフ』とは、化学用語で変化している間の時間とかって意味があるそうなのですが、完全には一人ではない生活、半分は誰かと一緒、とかのイメージもあって、採用したそうです。

脚本段階では『ピーチズ』というタイトルだったとか。

ティムが、桃の缶詰を、自分で開けて、食べられるようになる過程が描かれていますので。

これもなかなか面白かったですね。

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第21回東京国際映画祭【5日目】

昨日は『愛の十年』のチケットを持っていたのですが、余りに睡眠時間が短いので、自宅に帰ってしまいました。

ということで、折り返しの5日目です。

○九月の風(台湾)

超ど真ん中の青春映画って、弱いんですよね。

1996年、台湾で野球賭博スキャンダルが起こった年。イェン、タン等7人の仲間たちは、授業をサボって屋上でタバコを吸ったり、放課後に女の子をナンパしたり、深夜のプールで素っ裸になって遊んだり、野球チームの応援に出掛けたり・・・。その中心には、いつもイェンがいた。
しかし、ある夜、少年たちが引き起こした不注意なバイク事故でイェンが昏睡状態になり、罪の意識からグループはバラバラになって行く。タンは、グループの問題をいつも解決してくれていたイェンの代わりを演じようとするが、非力な彼には深まっていく溝を埋めることはできなかった。

全てが基本通り。

真夜中に校舎に忍び込んで、マッパでプールに入りたかったなぁ、とか、学生時代の願望が見事にそこにありました。

タンのイェンに抱いている感情が、受け取り方によっては、タンを親友以上に好きなのか、タンの恋人のユンへの横恋慕なのか、どちらにでも取れるのが、上手いなぁと思いました。

イェンを演じた少年は、ウェールズ人と台湾人のハーフとのことで、イケメンなのですが、美形過ぎて、感情移入がしづらかった。

タンも男の子にしては華奢だし・・・。

ユンを演じた少女は、韓国人の血が入っている(クォーター)ということで、美人の部類に入る女優で新鮮でした。

僕は、ダブりの2年生のシンの立ち位置が好きだったな。
いつも一歩引いていて、全員のことに気を配っていて、それでいて、アツイ。

仲間と一緒と言うより、イェンを独占したかったチェンも分からなくはないけど。

優等生的なのに影では悪さをするボーチウなど、年下クン達の変化もなかなかだったし、男子ならきっと誰かにシンクロできる部分があるはずです。

そして、プロデューサーに名を連ね、事故で息子が植物人間になってしまうスポーツ用品店の親父をエリック・ツァンが、わずか2シーンだけ出演しています。

セリフもほとんどないのですが、悲しさを漂わす名演技を見せてくれます。

上映後に、カードを配っていました。

日本公式ブログもあるそうです。

上手く行けば、一般公開できるのかなぁ・・・。

そうなったら、もう一度、観てみたい、と思わせる何かはあると思いました。

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愛読書!『蛍坂/北森鴻』

Hotaruzaka民族学者の蓮丈那智シリーズや骨董品屋の『冬狐堂』シリーズが気に入っている北森鴻氏の特集コーナーを、某大型書店で発見し、1年前に発売された文庫を偶然に手にしました。

三軒茶屋の住宅街にあるビア・バー「香菜里屋」。常連の客たちによって持ち込まれる謎に、マスター工藤は、鋭い考察と旨いビールで、わだかまりを柔らかくほぐしていく、こちらも人気シリーズ。

那智さんや冬狐堂とも、交錯するバーにもなっております。

今回も、16年振りに帰ってきた戦場カメラマンが、恋人と別れた蛍坂の真実を知る表題作や、タウン誌に掲載された記事によって巻き起こる『猫に恩返し』、三茶の都市開発をめぐるわだかまりと恋心をつづった『雪待人』等の5作が収められています。

小説家と浅草・隅田川のホームレスとの関係をミステリアスに描いた『双豹』は、なかなか上手く出来ているけど、途中で種に気付いちゃいました。

この作品は、シリーズ第3弾なので、シリーズの第1弾『花の下にて春死なむ』、第2弾『桜宵』も読まないとなぁ、と考えております。

しかし、ビア・バーなのに、工藤さんの作る肴は、読んでいるだけでも、食べたくなるようなものばかりですよね。

本当にあるなら、絶対に行ってみたい!

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第21回東京国際映画祭【3日目】

本日の4本は、難解な作品もあり、興味深かったですよ。

○ビューティフル・クレイジー(台湾)

思春期の少女たちの青春を、耽美的に描く台湾映画です。

父子家庭だが酒浸りの父親との折り合いの悪いエンジェルは、タバコの貸し借りで小歩と大ケンカをしてみたり、中年男とドライブへ出掛けたりと、不機嫌な青春を過ごしていた。自転車で帰宅途中に道端で倒れた小歩は、助けてくれたボクサー青年と付き合い始めるが、デイトにはいつも親友のアミも連れていた。人と目を見て話せないシャイなアミだったが、小歩の彼氏と3人で逢ううちに、お互いに惹かれていた。

物語の時間軸がバラバラだし、回想に使われるような淡い画像が現在で、ビビットな色彩が心象風景だったり、何処と、何処が繋がるのか分かりづらくしてあります。

また、3人、それぞれの視点で見ているために、同じシーンが何度も繰り返されるということも起こってきます。

時間的には2年間の流れがあるみたいなのだけど、観客によって、こことここが現在、っていう感覚が異なって解釈できるようになっていて、不思議でした。

耽美な世界と言いつつ、普通(?)に援交とか、三角関係(裏で女子同士も繋がっているので、本当はもっと複雑ですが)など、題材的には青春そのものではあるのですが・・・。

ティーチインがなかったら、解釈に間違いが生じた可能性、大でした。

○少女ライダー(イラン)

なかなか観る機会の少ないイラン映画です。

遊園地のアトラクションで、壁を疾走する曲芸バイク乗りだった父親の志を継いだ少女の物語。後を継いだ弟が、事故で全治1ヶ月の怪我を負ったことから、家族に内緒で壁に挑むことにした少女を、ある新聞社が特集したことから政府が動き出し、施設の閉鎖を言い渡されてしまう。閉鎖を取り消し、海外での公演のための旅券の発行を申請しようとするのだが・・・。

女性の社会進出に対して、まずは家族が反対し、社会やシステムがそれを阻害していく、という流れの中、越えられない壁は亀のように越えようとしないで回り込んで、壁の向こうへ行けば良い、という単純明快な展開でした。

主演の少女を演じたのは、最近ハリウッドの大作にも出演したイラクNo.1の女優さんらしいのですが、曲芸シーンの多くの部分は本人がスタントなしで演じたそうです。

何でも、イラクでは女性は二輪車の免許を受けられないそうですが、女性曲芸乗りは、各地の遊園地にいるそうですよ。

ラストのエピソードは、ほほう・・・、って感じで、憎いですね。

監督の発想だったみたいですけど、映画としては撮影可能でしょうが、現実的には、どうすれば可能になるのだろう・・・。

○陽もまた昇る(中国)

役者としても活躍されている『鬼が来た!』のチアン・ウェン監督の新作です。

4つのエピソードが独立しながら、1つに収束していく構成になっています。

山岳地帯で生活する母子は、母親が夢で見た魚模様の靴を購入したことを契機にして、精神的混乱が発生していく。赴任して来た魅力的な医師に惹かれた女たちが仕掛けた罠により、医師は痴漢の犯人として捕まってしまう。山岳地帯に妻を伴い赴任したタン医師は、子供たちの狩猟にのめり込んでいた。退屈に感じた妻は、母親が消えた青年と会う機会が増えていた。そして、20年前のゴビ砂漠でラクダに乗って男に会いに行く、二人の女がいた。

揉め事が起こって、良い方向に向かったなぁ、と思ったところで、意外な結果が終わる各エピソード。

もう、???????って感じでした。

でも、タイトル通り、陽がまた昇ってきて、希望の中で物語は終わります。

正直、この作品にはティーチインが必要でしたね。

理解できなかった分、もう1回、観たい!

○銀河解放戦線(韓国)

すっごい緩~い感じの、メイキング・ムーヴィな映画です。

映画監督志望の冴えない青年は、インディーズ映画に日本のアイドル俳優を起用して、資金調達を果たそうと準備しているが、日韓の思惑のズレから、上手くいかない。おまけに、同時期に彼女に振られてしまった監督は、自分の書いた脚本の主人公同様に、失語症になってしまう。
日韓の打ち合わせや、短編映画が映画祭で上映され、Q&Aを受けなければならないのだが・・・。

一応、ピーッ国際映画祭を念頭に置いていますが、同じ題材ならば『ボーイ・ミーツ・プサン』の方が、映画祭の取り込みについては上手かったかも。

本番中にゲリラ撮影を慣行した作品と比較して、とりあえずほぼ同じ場所で撮影されていますが、人影がまばらな印象で、映画祭の熱気みたいなのが、もう少し伝わり辛かったですね。

それでも、笑わせるところはしっかり笑わせていたので、まぁ、良しとしましょう。

劇中の映画を撮影している人たちを、演出する監督をがいて、それを撮影していることになり、不思議な状況になっていますよね。

インディーズ作品って、なかなか資金調達とかは大変そうですが、頑張って欲しいですよね。

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第21回東京国際映画祭【2日目】

2日目は、朝から一気に5本も鑑賞してしまいました。

○生きていく日々(香港)

これ、好きな感じの作品でした。

市街地から1時間近く離れた郊外には、低所得者が生活保護を受けながら生活する政府直営のニュータウンがあるそうで、そこに暮らす母子と最近、引っ越してきた老女の生活を淡々と描いた、女流ベテラン監督のアン・ホイの作品。

スーパーで働くオバちゃん二人の会話や、中学5年生の成績優秀な息子の夏休みの生活。

息子を演じた少年は、ほぼ素人なのだそうですが、作品の世界観を完成させる存在でした。

基本は夏休みなのでグータラ生活なのですが、親の手伝いや近所の人を助けたり、進学できたら進路指導室を手伝って、と教師から頼まれる優等生なんだなぁ。

生活に困窮した人たちを隠し撮りした映像も、何だか温かい作品でした。

○トルバン(カザフスタン)

カザフスタンの映画です。

海軍を退役し、姉の嫁ぎ先である羊飼いの家にやって来たアサ。同じ遊牧生活者には、隣りのグループの一人娘のトルバン以外には適齢期の女性はいない。早速、お見合いに出掛けるが、カーテンに隠れて姿を見せぬまま、「耳の大きい男は嫌い」と、理不尽な理由で破談となってしまう。

自然環境の厳しい平原の生活に圧倒されました。

その他にも、姉婿とソリが合わなかったり、事件が起きるのだけど、羊の出産に立ち会ったことで、少しずつ変わっていく。

お姉さんの子供たち、特に3人兄弟の末っ子の動きが、動物たちの動きに近く、カメラがゆっくり撮っていくのが印象的。

○行け行け!インド(インド)

インド映画と言うと、訳もなく歌って、踊って、ミュージカルのを想像します。

この作品の主演のシャー・ルク・カーンも、その手の作品の得意な方。

でも、この作品は音楽の使い方こそ上手いですが、ガールズ系のスポ根モノに仕上がっています。

優勝を決めるPSを外したことから、売国奴として男子ホッケー界から干された元ナショナルチームの主将が、弱小女子ホッケー代表チームの鬼コーチとして還って来た。技術はある選手を集めたものの、個性が強く、バラバラだったチームが、コーチの指導の下で結束し、ワールドカップを勝ち進んでいく。そして、決勝戦の相手は、W杯のホスト国のオーストラリアだった。

実際に2002年に優勝した女子ホッケー・インド代表チームをモチーフにしたそうですが、物語はお約束通りに展開します。

でも、この定石なのが、堪らないのだよな。

2時間30分と長めではありますが、素直に感動できる作品でした。

○ムアラフ - 改心(マレーシア)

TIFFではお馴染みのヤスミン・アハマド監督の新作です。

酒乱の父親の暴力から逃げてきたムスリムの姉妹は、宗教学の教授だった亡き母親から教わった宗教観の中で生きている。妹の通うカソリック系の学校の若手教師も、また幼い頃に受けた親からの虐待で心に傷を抱えていた。肌の色や宗教は異なっていても、お互いのことを話していく内に、心を通わせていく姉と教師。

宗教観という難しいテーマを押し出していながら、ヤスミン・ワールド全開でした。

主演の姉妹は、前作までのシリーズの主役・オーキッドを演じたアマニ姉妹なので、安心して観ていられます。

特に姉のシャリファは、長い黒髪をバッサリ切って、ベリーショートで登場。

最初は「短くしたのね」って感じだったのですが、物語の重要な役割を果たしています。

役者魂を感じました。

今回は、ティーチインがなかったのですが、バイト先の飲み屋の同僚との関係とか、不思議な場面が多く、聞いてみたかった。

個人的には、常連のン君が出ていなかったのも、残念でした。

○些細なこと(香港)

これまたTIFFの常連であるパン・ホーチョン監督の新作。

去年の来日の時に話していた、7話のショート・ショートをつなげたオムニバスですね。

エディソン・チャンとか、イーソン・チャンとか、著名な俳優が、恋愛についての色々を演じて見せるのですが、やっぱりプロデュースも担当したチャップマン・トゥが印象的ですね。

最初、同棲したのに、抱かせてくれない彼女のことを悩む主人公の友人の役だけなのかと思ったら、実はそれは劇中劇という設定で、チャップマン本人の役として再度登場します。

これが、中年のオッサンの悲哀を感じさせる、見事な演技(?)でした。

あのポニョッとした体型は、ある意味、芸術的かも。

ホラーあり、紙芝居風あり、甘酸っぱい青春ものあり、やっぱりパン監督は侮れませんな。

明日も有給が取れたので、1日映画三昧です!

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第21回東京国際映画祭【1日目】

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今年も東京国際映画祭の季節となりました。

今年もアジア映画中心に攻めていくつもりなのですが、初日の今日は日本映画とコンペのトップバッター2作品を鑑賞後、グリーンカーペットをのぞいてきました。

○THE CODE(暗号)(日本)

全ての参加作品を含めてトップバッターとなったのは、林海象監督の『探偵5シリーズ』の最新作。

ワールドプレミアです。

歌舞伎俳優の尾上菊之助君が暗号解読のプロという探偵に扮し、稲森いずみ演じる上海の歌姫の依頼で日本軍の隠した軍資金を探し出すという冒険活劇です。

菊之助君の間の取り方、視線の位置とかが、映画人とは違うので、面白いなぁ。

何より、いつもはサバサバした感じの姉御肌のOLとかが似合う稲森いずみが、謎めいたファムファタルを演じていて印象に残りました。

メッチャ、キレイです。

探偵社の会長・500の宍戸錠と松方弘樹の往年のガンアクションも見応えあり。

成宮、宮迫等、歴代の5XX探偵達のカメオ出演(?)もあって、嬉しくなります。

公開は来年夏だそうですが、これに成功しないと次は作れないほど資金をつぎ込んだ「壮大な自主制作映画」ということで、「何か、スゴイ映画があるらしいよ」とネットで情報流してくれ、とおっしゃっていました。

監督!約束、守りましたよ!

○アンダー・ザ・ツリー(インドネシア)

以前に審査員も務めてらしたインドネシアのガリン監督が、コンペに出品するというのも珍しいパターンですね。

実の母に里子に出され愛情を感じたことのない女性、お腹の中の子供が障害を抱え、死産になるかもしれないという妊婦、父親が一代で築いた富豪の娘で40歳年上の俳優に恋をする新進タレント。バリ島にやって来た3人の事情と伝統舞踊の世界が描かれています。

まず、ケチャとかガムランの響きが好きなので、祝祭のシーンはもちろんなんだけど、普通の生活の中にもそういう音が生きているというのが印象的でした。

また、抱えている問題はシリアスなのに、メインテーマが『ケ・セラ・セラ』という明るいメロディで「なるようになる」と優しく歌いかけてくれるのが深いです。

ティーチインでは、「セリフの8割は俳優達が考えている。監督はシチュエーションと重要なポイントだけを指示するのみ」という撮影方法が紹介され、ドキュメンタリーを観ているような感じがした理由が納得しました。

物語は結論が出ることなく、突然に終わります。

最初は「???」って感じでしたが、後になってジンワリくるタイプです。

主演の一人がゴマキに似た感じで、かわいかったですね。

○グリーンカーペット

今年のTIFFのテーマにエコロジーというのがあるそうで、レッドカーペットはペットボトルから作ったグリーンのカーペットに変わりました。

今年のTIFFの顔、木村佳乃と渡辺謙さんの愛娘・杏がまず登場。

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印象に残ったのは、着物姿の上戸彩、パンクロックな宮崎あおい。

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歓声が多かったのは、妻夫木君と小池徹平君。

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監督としてコンペに参加の渡部篤郎と主演の高岡早紀のツーショットも格好良い。

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今日、二度目の稲森は、やっぱり美しい!

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そして、ビックリ!!ゲストは、、、

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な、何と、麻生太郎内閣総理大臣が、ジョン・ウー監督と歩いてる!

オープニング作品の『レッドクリフ』からは、トニー・レオン、金城君、チャン・チェン、ヴィッキー・チャオ・・・、これだけ並ばれると超豪華!ですね。

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金城君は、相変わらず格好良い!

ヴィッキーは、メチャクチャ、かわいいじゃないですか。

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そんな感じで、満喫の夕暮れ時なのでした。

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Live! Joe ビルボードライブ東京@六本木・東京ミッドタウン

東京ミッドタウンの中にあるというライブ・レストラン。

一度、入ってみたくて、そうしたらジョーのライブがあるということで、出掛けてみました。

ぴあでは、レストラン席しかなかったのだけど、13,500円のチケットで、飲み食いすると、結構な出費になりますね・・・。

直接電話するとワンショットバー・スタイルの席もあるみたいです。

1日2回公演の1回目を鑑賞したのですが、2回目が決まっているので、19時きっかりに始まりました。

新作の『Why just be friend』からスタートでしたが、全体としてはほぼ同時発売のベスト盤からの選曲とも言えるのかな。

『If I was your man』とか、『All the things』とか、名曲と呼ばれている楽曲も、押さえていました。

前半はDJを加えたストリート系、後半は椅子に座ってのSweetyなラブ・バラード、そして、アンコールは自らアコギを抱えてアンプラグドっぽく仕上げていました。

すごく大人っぽいムードでしたが、1階席に降りて来て、握手、花束やサイン、挙句にはキス(しかも、唇!)して、Hugして、大サービスでした。

あんな甘い声で耳元で歌われたら、女の子はイチコロだろうなぁ。

ただ、純粋に音楽会場と考えると、決して良い環境ではないと思います。

レストランなので、食器がぶつかってカチカチ、ナイフを落としてガシャーンという音もします。

客層はカップルやOLが多かったのですが、アルコールが入って、上機嫌の黄色い笑い声、特に、六本木という場所柄、外専のお姉さんも多いらしく、「お願いだから、ジョーと関係ないところで、しゃべるなよ!」って感じでした。

それでも、アンコールで舞台後ろのカーテンが、サーッと開いて、赤坂方面の夜景がデーンと登場した時は、格好良かったなぁ。

一度は体験する価値はあると思う。

ほぼ90分できっちり終わるので、後の予定も、まぁ、立てやすいかなぁ。

来月のbabyface、2月のエリック・べネイなんかは、聴いてみたいなぁ、と思いました。

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韓流シネフェス2008秋【7】『ビューティフル・サンデー』

Sunday少しひねった感じの構成で、新鮮でした。

でも、かなり最初の方で気が付いちゃったんだなぁ・・・。

凶悪犯罪課のカン刑事は、大規模な麻薬組職の取引き現場を摘発し、密売業者サンテを検挙する。しかし、押収した麻薬を対立組職ギチョルに売買し、闇金を受取る。不慮の事故で植物人間となった妻の治療費のために、数年前から闇取引きをしていた。この事実を知ったサンテは、カン刑事とギチョルへの復讐を決心する。ギチョルに殺人の濡れ衣を着せ、カン刑事に金と麻薬を返せと脅す。命がけで愛してきた妻が危険にさらされ、抜け出す事ができない窮地に追い込まれて行く。
一方、内気で大人しい性格の浪人生ミヌは、偶然見かけたスヨンに初めての恋をする。ある日、ミヌは町で見かけたスヨンを尾行し、彼女がボーイフレンドとモーテルに入るのを目撃し、絶望してしまう。数年後、偶然に再会する二人だったが、スヨンはミヌのことを覚えておらず、ミヌは片思いをしていた事を隠したまま結婚する。幸せな新婚生活で子供を身ごもった二人だったが、ある日、スヨンはミヌの隠された過去を思い出し、彼の前から姿を消す。スヨンを捜し出したミヌは、子供を堕胎したというスヨンと揉み合いとなり、弾みで彼女を刺してしまう。
罪悪感に苦しんだミヌは自首を決心し、警察署を訪れる。そこでカン刑事に出会ったミヌは、妻を殺す事に至った自身の全ての罪を告白し始める。

カン刑事の物語は、数週間とかって話しで、婦女暴行事件が頻発していて、ミヌの物語でもレイプ事件が扱われる。

同じ時代の話?と思っていると、数年振りに再会するミヌとスヨン。

見た目が変わらないから、時間が過ぎたことに見抜けないとドツボにはまるかも。

でも、容赦なく、交互に物語が積み上げられていきます。

初恋を叶えるために最悪の手段を取ってしまったことによる悲劇。

愛する者を救うために手を染めた悪事。

二つの罪は、それぞれをギリギリの状態に追い詰めていく。

その極限状態の表現は悪くなかった。

美青年のナムグン・ミンが見せる狂気と、鬼気迫るパク・ヨンウの個性のコントラストが見事。

あまり期待していなかったので、掘り出し物だったかも。

(満足度:★★★☆、オススメ度:★★★☆)

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韓流シネフェス2008秋【6】『最高のパートナー』

Saikouやっぱりアン・ソンギって、スゴイね。

警察学校を首席で卒業したカン・ヨンジュン警部補は、警察内部の不正を調査する覆面刑事。今回も同僚刑事が麻薬事件の内部データを持ち出したことで、その流出先を捜査するために釜山へ向かっていた。
釜山で待っていたのは、人情に厚く、トボけてばかりの風俗課係長カン・ミノ。歳月が積んだ貫禄と同僚の家族まで一つにまとめる人格者で、部下からも尊敬されている。ソウル本庁からの突然な共助捜査要請により、8年間一度も音沙汰がなかった息子ヨンジュンが責任者として現れた!!
8年振りの再会を果たした父子だったが、事件解決のためにパートナーを組むことに。最初は全く違うスタイルと捜査方式に苛立つ二人だったが、次第に地場に根付いたカン係長の活躍により、意気投合し始め、重要参考人の自殺という形で事件は一つの山場を越える。しかし、それもつかの間、警察内部と麻薬組織のコネクションが動き始める。

万年係長の父親は、勤務怠慢、賄賂や家族を省みず、そのことが原因でヨンジュンは極端に曲がったことの嫌いな人間となり、警察内部の不正を暴く調査官への道を志すようになっていく。

このダメ親父を飄々と軽~く演じているアン・ソンギ。

最初は、チョット失敗したかも、と思っていたのだが、そこはやっぱり韓国映画。

最後はしっかり親子の愛情を情感深く盛り込んで、父子の心のわだかまりもスゥーッと消してくれます。

アクションシーンも多くて、アクションするアン・ソンギが、何故だかジャッキー・チェンのように見えました。

タッグを組んだ、チョ・ハンソンも悪くないぞ。

感情の振れ幅が大きいこともあって、冷血な男から仲間を思う熱い男へと変貌していく訳ですが、彼の作品の中では、一番良かったかもしれない。

アクション満載の刑事モノで、泣けるなんて想像していなかった。

さすがに涙は流さなかったけど、胸はアツクなりました。

周囲からはすすり泣く声が聞こえてきて、明かりがついても立てなかった女性ファンも多かったみたいですよ。

(満足度:★★★☆、オススメ度:★★★☆)

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韓流シネフェス2008秋【5】『6年目も恋愛中』

6nenmeキム・ハヌルとユン・ケサン主演の長過ぎる春に倦怠期を迎えたカップルを描いた等身大のラブストーリー。

結構、リアルだなぁと思いました。

学生時代に知り合って、交際6年を迎えるジェヨンとダジン。同じマンションの隣り同士で住み、互いの部屋を行き来しながら、一緒にいるのが当然になってしまった二人は、恋愛関係と言うよりも家族に近いのかもしれない。
30歳までに編集者のチームリーダーになることを目指すダジンは、心理学を取り入れた恋愛マニュアル本でベストセラーを狙い、通販会社でCMディレクターを務めるジェヨンも仕事は順調。一見、順風満帆に見える彼らだったが、それぞれ不満を抱えていた。
そんな時、ジェヨンは失恋の傷心旅行の費用を溜めているアルバイトと親しくなり、ダビンは聴力障害を持つ売れっ子デザイナーと仕事を通じて急接近して行く。

キム・ハヌルは良いですよね。

とりたてて美人という訳ではないけど、愛嬌があって、まさに【ラブコメの女王】って感じ。

でも、今回はコメディ的な要素もあるけど、離れていく恋心というか、切ない系の作風で、これまでも『青春漫画』の後半とかがそうでしたが、しっとりとした良い演技を見せてくれます。

そして、ケサン君。

10代のバリバリのアイドル時代から知っていますが、とりたててハンサムという訳ではない彼がどうして人気があるのか、ずっと不思議だったのですね。

で、今回、アルバイトの女の子に「先輩って、年上なのにかわいいですね」って言われるのですが、まさにそこなんでしょうね。

軍隊にも行って、身体はモムチャンになって帰ってきても、挙動に少年らしさが残っている。

頼りなさ気で、わがままで、でも、目が離せない。

女子から見たら、そんな感じなんでしょう。

前半に「別れたら友達になれるか」という議論があって、「俺たちは永遠の友達」と言っていた二人。

ラストシーンのダビンのモノローグが意味深で、そうなってくれたら良いのになぁ、と応援したくなってしまった。

秋に観たくなる映画ですね。

(満足度:★★★☆、オススメ度:★★★★)

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トップリーグ08-09第4節!日本IBMvsサントリー他@秩父宮ラグビー場

亙監督率いる7'sワールドカップのアジア予選で中断していたトップリーグが再開されました。

本日は体育の日ということですが、晴天に恵まれて、ラグビー観戦日和でした。

最初の試合は、ヤマハvs横河電機。

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トップリーグ初年度から連続出場を守っていた将太郎が、アキレス腱負傷で戦線離脱となったのが、少し寂しいですね。

五郎丸は、6週間の出場停止らしいし・・・。

前半こそ、0-31でヤマハの圧勝でしたが、後半に入ってからは横河電機が押しまくり、かなり良い試合になってきました。

最終的には29-55も、力的には点差ほど離れていないような印象が残りました。

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2試合目は、IBMvsサントリー。

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スタメンには、FLに佐合君が入っていたり、リザーブにもHO伊勢田、PRにアキレス腱断絶から1年振りに復帰の林仰と、若手を多く起用してきました。

ハーフは、先発は澄憲と曽我部だったのですが、リザーブにグレーガン、秀悦とSHが二人、SOに野村直矢と、何やらやってくれそうな予感。

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まず、今日の試合で触れなきゃいけないのは、トップリーグで初めて通算50トライを決めたザワですね。

今日は、応援団長の直人さんが替え歌をいくつか作ってきていて、

♪ボールを回せ ザワまで回せ
  小野澤1番 青木は2番 ドンドン

ってのが有りまして、関西人らしいオチのある歌詞ですが、やっぱり「1番」というのは気持ち良いですね。

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おめでとうございます。

今日は、長友とか若い選手に、ここに投げてくれ、とか指導しているシーンもあったりして、彼も大人になったなぁ・・・と。

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まぁ、今日も突破役はソンゲタとライアンの外人2人でしたね。

FBで出場のウチは、身体能力の素晴らしさは観られましたが、細かいミスが多かったかな。

CTBの平君が前半の早い時間帯に負傷交代でノムが入ってきました。前半は普通にやっていたのですが・・・。

後半、キヨに代わってSOにグレーガンが入り、ウチと交代して、WTBの位置に秀悦、FBはWTBの長友が入ってから、不思議なことが始まります。

多分、ポジションを色々試していたのだと思うけど、FBにザワや曽我部を入れたり、No.8の位置に秀悦を入れてグレーガンとのツインSHにしてみたり、タケをWTBの位置に置いてみたり・・・。

それぞれが不慣れなポジションで、それがピンチになったりもしていたんけど、バリエーションの広がりとしては面白いかもしれないし、今後の試合で「あっ、あの時の採用したんだ!」的な発見があると思うと、少しワクワクします。

曽我部はキックパスとか、急に角度を変えてパスしたり、相変わらずトリッキー。

キックパスなんかは好判断な場合もあるし、周囲が彼の判断についていけたら、もっと面白くなるのかもしれませんね。

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そして、今日はFW、特に第一列。

後半、IBMに押され気味だったけれど、伊勢田が入ったら勢いが戻って来た。

正に、ラッキーボーイ。

林仰は、1年間頑張りましたね。お帰りなさい。

そして、本日のマン・オブ・ザ・マッチ。

機敏なデブ・・・イエ、早稲田が産んだスターの畠山ですね。

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ホント、あの身体で良く走る!

何で、お前、そこにいるの?って位に。

今は尾崎が絶好調ですが、伸び悩んでいる前田君に是非とも復活してもらって、「前田-青木-畠山」の早稲田OBで一列目を固めて欲しいのだけどなぁ・・・。

しかし、ガヤもいるのだから、サントリーの一列目って、スゴイよなぁ・・。

後半もたついたけど、24-43でとりあえず勝利。

課題は多いけど、今後の期待というか楽しみの詰まった試合でした。

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来週は、ヤマハと花園で対戦しますが、東京国際映画祭の期間と重なってしまったので、お休みさせてもらって、再来週の仙台遠征に付き合おうかなぁと思っております。

「ヤマハと花園」って、余り良い思い出のない組み合わせなので、心配ではありますが。

Go!Go!サンゴリアス!

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オススメ!映画紹介『最後の初恋』鑑賞

Saigonohatsukoiビターな味わいもある「大人の恋」だなぁ・・・。

エイドリアンは、別居中の身勝手な夫、反抗的な思春期の長女と喘息の長男の面倒と、日々の生活に疲れ果てていた。周囲の状況をゆっくり考え直すため、海辺の小さな町にある友人のペンションを手伝いに来る。ところが、町に着いた彼女を待っていたのは大きな嵐が来るという予報。
そこへ週末の唯一の客であるポールが到着する。全米でも有名な外科医という彼も、家族の問題を抱え、更には良心の呵責を解決するために、季節外れのこの町にやって来たのだった。嵐が近づくにつくにつれ、2人はお互いに安らぎを求め、それはやがて彼らの運命を変えるロマンスに発展する。

主演のリチャード・ギアとダイアン・レインのカップルは安心して観ていられますね。

お互いにアップになると、皺だらけなのだけど、ラブシーンはセクシーだし、ああいう年の取り方したいなぁ、と思いました。

凄くロマンティックな話しではあるけど、バツイチ医師と夫と別居中の女という脛に傷のあるもの同士の感情のぶつけ合い、と考えると、スゴイものがある。

ペンションの滞在期間を終えて、それぞれの生活に戻って(進んで?)行くのですが、その後のやり取りが文通というのが良いですね。

逢いたい、でも、まだ逢えない・・・。

最初、『最後の初恋』って日本語タイトルはどうなの?って思うのだけど、初めての恋のように胸ときめいて、結局は叶わないってところがそうなのかなぁ・・・。

『メッセージ・イン・ボトル』とか、『マディソン郡の橋』とかの路線ですね。

大人な観客が多かったですよ。

それから、日本公開バージョンということで、イメージソングだと思っていたダニエル・パウダーの『best of me』がエンディングに使われていました。

凄く映画にマッチした曲で、またヒットするのかな?

(満足度:★★★☆、オススメ度:★★★☆)

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オススメ!映画紹介『容疑者Xの献身』鑑賞

X1想像以上に原作に寄り添った映画でした。

貝塚北警察署の女性刑事・内海薫は、先輩・草薙と大森の河川敷の野球場で発見された絞殺死体の捜査に乗り出していた。
被害者・富樫慎二の別れた妻・花岡靖子に事情聴取を開始するが、彼女の隣人である高校の数学教師・石神が、【ガリレオ先生】湯川准教授の大学時代の友人であることが分かる。
興味から事件に首を突っ込んだ湯川は、犯人の沈着冷静な行動に、唯一の親友である石神が事件の背後にいるのではないかと推理し、苦悩することになっていく。

大ヒットドラマの映画化(正確には、ドラマ開始前に映画化は決まっていたのだが、)だけに、前の事件の馬鹿馬鹿しい程に大規模な実験をやってみせたりして、見せ場を作っていた。

原作は石神を中心に据えていたが、映画ではやはり湯川学を中心にし、知らなければ良かった親友の想いに気付いて、自分がこの事件を暴くことで、幸せになる人はいない、と苦悩する湯川。

感情を抑え、クールに演じようとすればするほどに切なく、福山雅治のまさにハマリ役。

柴咲コウ演じる内海は、新米刑事の浮ついた感じがなくなり、湯川とのコンビネーションも良くなっていました。

大学の同級生ということで、原作では「石神-湯川-草薙」という構図だったので、彼女の立ち位置については、正直心配でした。

正直、TV版ほど目立たなかったのかもしれませんが、ほんの少しニュアンスを変えることで、時には苦悩する湯川を見守るマリヤのように包み込む大きさもあったりして、悪くはなかったと思いますよ。

とは言え、石神を演じた堤真一、靖子を演じた松雪泰子は、良かったですね。

正直、柔道体型でズングリムックリなハゲ中年を想像していただけに、堤さんは格好良すぎだろう、と思ったのですが、なかなか哀愁感のある佇まいでした。

途中のストーカーの下りも、原作では「容姿がマズイからそっちに走るのか」というリアルがあったけど、映画では「それも作戦だったのか」という天才の頭脳という感じがしました。

松雪さんも、いくら錦糸町No.1ホステスで、会社社長が入揚げる女にしても、美人過ぎるだろう、と思ったのだけど、いつもの弾けた感じは微塵も見せず、しっとりとした演技を見せてくれました。

文章では気が付かずに見事にトリックに引っ掛かるのですが、トリックを知っていたこともあって、映像として映し出されると、かなり不自然なカットもあったし、結構あから様にヒントを提示しているのですよね。

TV版の個性派レギュラー陣ですが、湯川の助手役の渡辺いっけいさんは当然チョコチョコ出てきて邪魔してくれますが、解剖医の真矢みきさん、先輩刑事の品川君はほとんど出番がない!

舞台挨拶で「僕の出番は15秒です」と言って、場内をざわつかせた品川君は、実際にはもう少し映っています。

が、事件をミスリードさせる役ですので、石神に拘る人たちとの絡みが少ないのは仕方ないのかな・・・。

シリーズはいくらでも続けられそうな世界ですので、今後も新作を期待するのでした。

(満足度:★★★★、オススメ度:★★★★)

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オススメ!映画紹介『宿命』鑑賞

Shukumeiある意味で韓流スターの象徴的な俳優ソン・スンホンの除隊後復帰作となる作品。

公私に渡り親友であるクォン・サンウとの久々の共演も話題となっている。

運命のいたずらで闇の世界に踏み入れた4人、ウミン、チョルジュン、ドワン、ヨンファン。兄貴分のガンソプとともに計画したカジノ襲撃作戦は、対立するチョン・ドゥマンの金を盗み、その金でやり直すことを夢見て、華麗なチームプレーで完壁に成功するように見えたが、チョルジュンの信じられない裏切りで、ドゥマンに捕まってしまう。ガンソプはアキレス腱を切られ、ウミンは責任を取って刑務所行きとなる。
2年後、模範囚として出所したウミンだったが、ガンソプは行方不明、ドワンは薬漬けになっていた。ドワンを廃人にした男に報復し、そんなドワンを見捨てた元恋人を訪ねたクラブでウミンはチョルジュンに再会する。ウミン逮捕の一件で、組織内に急激に勢力を拡大したチョルジュンは「久し振り」と手を差し出すが、ウミンはその手を払いのける。
そして、ウミンが戻って来たことで、自分の居場所を徐々に失われるような感覚に陥ったチョルジュンだったが、ことを急ぐ余りに空回りし始める。
背を向けた瞬間 最高の友は、最強の敵となる。
宿命との避け難い、戦いが始まる。

いわゆる日本公開バージョンになっています。

最大の違いは音楽の使い方。

GLAYの新曲がメインテーマに、ジョンテのバラードがエンディングに起用されている。

だから、ということではないのだが、まるでソン・スンホンが主演するミュージック・ビデオのような感じがした。

理由はいくつかある。

まず、物語の積み上げ方が、説明的なものを一切排除していること。

何か、いきなり大乱闘が始まっていて、きっと後で回想か何かで説明するのだろうな、と思ったら、何もない。

出所して2年間の出来事もほとんど説明なし。

監督のインタビューとか読むと、編集段階でソン・スンホンの目を見た時に、語らなくても良いものはバッサバッサと切るように、プランを変更したのだそうである。

だから、主人公に感情移入する間もなく、物語が勝手に動き出している感じがしました。

そんな中で、初の悪役に挑むクォン・サンウは、なかなか良かったと思う。

韓国では彼の演技について、その舌足らずな話し方を酷評する方も少なからずいる、と聞いている。

しかし、この作品では、それを見事に逆手に取っている。

チョルジェンは、格好つければ、格好つけるほど滑稽に見えるキャラクター。

彼が、叫び、喚く度に、全てが空回りしていく。

嫌な奴なんだけど、妹に対しては兄らしい優しさを持っている等の人間味もないわけではない。

いかに親友の復帰作の華を添えるという目的があったとしても、このキャラクターがあってこその出演だったのだろう。

そして、もう一人、チソンも除隊後の復帰作という位置付けになる。

特別出演扱いなので、シーン的にはそれほど多くはないが、印象的な表情を見せてくれる。

まぁ、彼クラスが演じている役なので、先の展開が見えるというか、割とひねりはなかったかな。

でも、助演という立場ながら、光っていました。

ラストにまだ仲が良かった頃、組織に入ったばかりのレクレーションでアメフトを興じる若者たちのサービスショットがありますので、まぁ、それだけ目当ての方がいたとして不思議もない・・・かな。

ん・・・、彼らのファンだったら、見逃せないとは思うのだけど・・・って感じでしょうか。

(満足度:★★★、オススメ度:★★★)

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韓流シネフェス2008秋【4】『愛サラン』

Loveクァク・キョンテク監督って、故郷の釜山が大好きなんだなぁ、って、まず、思いました。

埠頭や市場の風景、慶南訛りのセリフ回し。

ある意味で『チング』に似たテイストの作品と言えるのかなぁ・・・。

小学生の頃、転校生のイノは、同級生にからかわれていたミジュを助けたことから、彼女の誕生日パーティに招待される。しかし、家に行ってみると、借金取りが家財道具を搬出している最中で、そのままミジュとは会えなくなってしまった。
17歳となったイノは、家が貧乏なため、柔道の特待生資格を得て、大学進学を目指していたが、少年院から出てきた番長との乱闘で大ケガを負い、大事な大会を欠場してしまう。
しかし、この事件で彼と親友となったイノは、親友の妹としてミジュに再会し、7年越しの初恋を告白する。ところが、イノは彼女を守るために暴力団員を刺し、姿を隠さなければならなくなる。
釜山の波止場で肉体労働者として働くイノは、地元の有力者ユ会長に認められ、会長の下で働き始める。そして、日本に行ったはずのミジュと思わぬ形で再会してしまう。

『カンナさん大成功です』では、ピカッピカッの笑顔で、カンナさんが憧れる美男子を演じていたチュ・ジンモが、無骨で男臭く、激情のままに、過激なアクションを披露し、その変身振りが見事でした。

柔道選手ってことで、単純に身体だけでも相当にデカクなってます。

ミジュに対して、純粋、純情な青年であり続け、想えば想うほどに、届かなくなる純愛に胸が痛くなるのでした。

韓国では裏社会を扱った作品が多いのですが、この作品もヤクザが重要な役で登場するし、暴力シーンは少なくありません。

だけど、他の作品とは何かが違うような気がしました。

ノスタルジーというのとは別なのかもしれませんが、二人の純愛に懐かしさや、イノの真っ直ぐさに羨ましさを感じました。

この感覚は、『チング』での男たちの熱い友情、どこかで掛け違えてしまったボタン、に通じる感覚なんだと思う。

『チャンピオン』や『タイフーン』では、大きな予算で撮影された大作感が邪魔していたような気がするのですが、この作品は僕好みで結構好きだなぁ。

割と席も埋まっていました。

(満足度:★★★☆、オススメ度:★★★☆)

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韓流シネフェス2008秋【3】『私の愛』

My_love韓国の人って、この手の映画好きだよね。

地下鉄運転手のセジンは風変わりなチュウォンに恋をする。恋人に振られて休学してしまった先輩チウに片想いのソヒョンは、復学したチウを飲みに誘う。広告代理店に勤めるスジョンは、コピーライターでシングルファーザーのジュンソクに想いを寄せ、ジンマンは別れた恋人との約束を果たすため、6年振りに帰国する。
運が良ければ一生に一度めぐりあえる120年振りの皆既日蝕の日に起きる、愛の奇跡の物語。

『大停電の夜に』の日蝕版と言えば良いのでしょうか。

ソウルという大都会で、偶然にすれ違った人たちが織り成す、それぞれの愛の物語。

『王の男』で大道芸人を演じたカン・ウソンが、寡黙な運転士を演じていているのですが、ファンタジーというか、現実感のない雰囲気でしたね。

地下鉄という暗闇の中で、花火とか、蓄光塗料とか、出てきますし、日蝕の中で見つけ出す愛のカタチも「なるほどね」って感じでした。

ソヒョンとチウのカップルは、微笑ましくて、良いですね。

好きな人の何気ない一言が、恋しちゃうと重要なことになっちゃうんだよね!分かるよッ!

と恋愛初心者と応援する気分になりました。

反対に、シングルファーザーで恋愛をあきらめた男を愛してしまうキャリアウーマンのスジョンの愛は結構リアルで有りですね。

そして、日蝕を一緒に見ようという約束のために放浪の旅から帰ってきたジンマンを演じるのはオム・テウン。

ヒッピー風の風貌で「フリー・ハグ」してくれます。

解約した携帯電話の番号の現在の持ち主であるスジョンに「俺の番号、返せ」と迫る、トンデモな男ですが、何だか許せてしまえそう。

そうなんです。僕も、この手の作品は好きなんだなぁ。

(満足度:★★★☆、オススメ度:★★★☆)

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韓流シネフェス2008秋【2】『喧嘩 ヴィーナスvs僕』

Kenkaソル・ギョングとキム・テヒ主演による、離婚コメディなんですけど、何かもったいないような気がしました。

顔を合わせれば喧嘩の絶えないジナとサンミンは、性格の不一致を克服し、周囲の祝福を受けて、晴れてゴールインした。しかし、甘い結婚生活も2年が限界。ジナは女心の分からない無神経なサンミンに我慢できなくなり、ストレスを溜める日々に、遂に爆発!
二人は別れを決意するが、離婚してからも二人の喧嘩は更にエスカレートしていくのだった。

着想としては、悪くないと思う。

倦怠期の夫婦がケンカを通してでしかコミュニケーションが取れず、友達と呼べる人もいるのに、何かトラブルが発生すると、結局、元の相手にしか呼び出せる人がいなかったりする。

ケンカ出来るのは仲の良い証拠ではないが、相手を思いやる気持ちを思い出していく。

名優ソル・ギョングは、これまでもシリアスなドラマの中にユーモラスな演技を見せてくれたけど、ここまでダメダメで、偏屈で、不器用な男を演じるなんて、スゴイなぁ、と感心して観ていました。

才色兼備なキム・テヒが、ここまでやるかのハチャメチャ振りで、壊れていく・・・。

しかし、やっぱり漫画チックで、これは!という感じがなかったかなぁ・・・。

僕は男なので、サンミンの素直じゃないところとか分かるんだけど、それをあんな感じで返されたらなぁ・・・、と言いますか。

最後に、サンミンの本当の気持ちに気付いたジナの晴れ晴れとした表情は、良かった。

でも、そんなに甘くない。

悉く、タイミングの悪い男なんですよね・・・。

裏読みせずに笑えるならば、面白いのではないでしょうか。

(満足度:★★★、オススメ度:★★★)

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オススメ!映画紹介『イキガミ』鑑賞

Ikigamiこの物語が実話だとしたら、切ないし、怖い社会だよなぁ。

「国家繁栄維持法」により、国民の「生命の価値」を高めることが、社会の生産性を向上させると信じられている世界。
小学校の入学直前に受けさせられる予防接種で、1,000人に1人の確率で、あるカプセルが仕組まれる。それは、18歳から24歳になったとき、体内で指定された日時に破裂し、命が奪われるという、恐ろしいものであった。死の24時間前に、政府によって発行された死亡予告証「イキガミ」が渡され、宣告を受けた者は必ず死亡する。
25歳になった厚生保健省の国家公務員・藤本賢吾は、その「イキガミ」の配達人。エリートとして入省した藤本だったが、残りわずかの人生を懸命に生きる人々を目の当たりにしたとき、考え方が変わり始めていく。

松田翔太が良いですね。

感情のない人形のような感じだったのが、少しずつ疑問を持ち始め、感情のままに禁止されている行動に移すようになっていく青年を、クールな感じで演じていました。

そして、彼の上司を演じる笹野高史さんが、今回も素晴らしい。

部下の藤本が、配達対象者に感情移入始めたことを察知し、戒めながらも、意味深なセリフで、優しく見守ってくれる。こんな上司がいたら、良いよなぁ。

基本的には3つの物語なのだけど、オムニバスにせずに、微妙に時間軸を重ねているところが最近の流れとは違っていて、興味を引きました。

男の友情と夢を描いた最初のエピソードは、音楽の力が見事に働いていて、単純に感動させられました。

死ぬ前に何をしたいだろうか、死んでしまった人の意志を継ごうと思える親友がいるだろうか、とか色々考えられました。

嫉妬と応援してやりたいという複雑な感情の中でゴチャゴチャしている青年を塚本君が上手く演じていました。

2つ目のエピソードは、政治という少し重たいテーマだけど、この物語を語る上で、特に描かれていない未来を想像するのに重要なポイントとなる物語です。

最後のエピソードは、チンピラと盲目の少女のピュアな兄妹愛。

出てくる人が、皆、良い人ばっかりでしたね。

3つ通して言えるのは、死に行く人ではなくて、残された人達に比重が置かれていたような気がしました。

愛する者の死をどう受け止め、乗り越えていくのか。

目が見えるようになり、兄が準備してくれていたマンションの窓から見た兄の愛情に感動する鳴海璃子ちゃんの表情が良かったと思う。

そんな希望を感じさせながらも、最初と最後に登場する劇団ひとりのエピソードは、ある意味でリアルだし、この作品の居心地の悪さみたいなものを、倍増してくれました。

パート2とかも作りやすいのでしょうが、正直、映画よりも、例えば、テレ朝・金曜深夜ドラマ枠で観てみたいと思いました。

(満足度:★★★☆、オススメ度:★★★☆)

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オススメ!映画紹介『ファン・ジニ』鑑賞

Hwangjinyi実のところ、主演のソン・ヘギョって、あんまり興味のない女優さんだったのですけど・・・。

16世紀、朝鮮王朝時代。身分階級まで運命が決まっていたこの時代に、両班の娘として育ったファン・ジニ。
ある日、チニの元へ縁談話が舞い込んでくる。しかし、出生の秘密が原因で彼女の結婚は破談。そして、家を出て実母と同じ妓生としての道を選ぶことを決意する。チニは、最初の男として、ずっとそばで支えてくれた幼馴染のノミに体を捧げ、妓生としての道を歩き始める。
5年後、一流の芸妓となったファン・ジニは、町を騒がせている義賊を率いているのはノミだと気づき、彼の逃亡を手伝うのだが・・・。

名門家の実の娘として育てられたけど、真面目な男が妾に産ませた娘。

女なのに文字を読み書きし、詩や画にも精通した女性。

嘘だらけの家を捨て、男に身を捧ぐ優美な世界に身を投じる。

下手に演じると厭味になりそうな女性像を、自然に演じていて、ソン・ヘギョ、結構やるじゃん、と思いました。

いつも彼女のすぐそばで守り続ける心優しい青年を演じるのは、ユ・ジテ。

このところ、壊れた人を演じることも多かったけど、チニには見つめる愛で、貧しい庶民には盗んだものを分け与える義賊として、イメージ通りの好青年の役でした。

お互いに「愛している」という言葉を発しないからこそ、それぞれが取った行動が、お互いに対する想いに溢れていて、切なかった。

国を救った英雄位しか伝記の少ない韓国で、実在した女性ではあるものの、その生い立ちは謎に包まれていて、いくつもの物語があるそうです。

共通しているのは、チニに一目惚れして、恋煩いで死んでいった青年の棺に着物を掛けたことと、『スキャンダル』なんかでも観られた、聖人気取りの役人に未亡人として近付いて誘惑し、恥をかかせる恋愛ゲームに興じていたこと位らしいです。

日本にもありそうで、ない時代劇で、なかなか面白かったです。

観客の平均年齢は異常に高し!夫婦割りのカップル(?)が多かったです。

(満足度:★★★☆、オススメ度:★★★☆)

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愛読書!『上海タイフーン/福田靖』

Shanhaitaiphoon結構、以前に読んでいたのですが、感想を書きそびれていました。

現在、NHKで土曜日に放送中の連続ドラマの原作本です。

変わり行く中国経済の象徴とも言える上海を舞台に、起業を目指す女性の成長の物語。

15年前に仕事で上海に行き、一昨年、10年以上振りに訪れたその都市は様変わりしていた。

超高層ビルの乱立するビジネス街も、一歩裏通りに入ると、ゴチャゴチャした昔ながらのレンガ造りの建物が並んでいる。

僕の中では、何となく大阪っぽいなぁ、と思っているのだけど。

主人公の野村美鈴は、アパレルメーカーに勤めるキャリア志向の営業主任。女性ブランドの立ち上げ目前に、下着部門に異動させられた上、上海での提携企業と会社の指令通りに強気で交渉したのに、上司から「郷に入っては郷に従え」と言われ、それを愚痴った恋人には別れを告げられ、人生最悪な時を迎える。
恋も仕事も失った美鈴は、転職雑誌で上海のホテルで知り合った上海でフラワーショップを企業している三井香の記事を読み、自分も上海で成功してみせると大嫌いだった中国へと旅立っていく。
何にも出来ないくせに、自意識過剰で、周囲の見えていないキャリアだけは豊富な日本人女性が、周囲の人たちとぶつかり合い、特に自分が失職する原因となった中国投資家の曹との偶然、を繰り返しながら、上海発のファッションブランドを世に送り出すまでのガッツ溢れる奮闘記です。

ドラマを観ていないので、雰囲気は良く分からないのですが、フラワーデザイナーとして成功する三井香は、松下由樹さんをアテ書きしていることは、何となく読み取れました。

成功しているかに見えている香にしても、抱えている過去があり、古くから残る中国ビジネスにおける面子の問題という点で、若くして成功した、地方都市からの流れ者である曹は、爪弾きにされる要素も十分にはらんでいる。

そんな彼らも猪突猛進型の美鈴のパワーに押されて、少しずつ変化していく。

サイドストーリーとして、美鈴の父親は、かつて技術者として中国に渡り、行方不明になってしまったという設定になっている。

母親と自分を捨てた父親を恨みながらも、どこかで求めていた美鈴だったが、上海の地で父に出会い、真相を突き止めることが出来るのか、も、アジアへ進出する日本企業が抱える問題(?)の一つを描いていて、興味を持てました。

どっちが上で、どっちが下ではなくて、対等な関係になっていく彼らの行動を読むにつれ、現実はそんなに甘くないだろうけど、そういう関係になれるのならば良いな、と思いました。

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韓流シネフェス2008秋【1】『ハピネス』

Happiness『四月の雪』のホ・ジノ監督と呼ばれるのには少し抵抗がある。

僕にとっては、『八クリ』、それ以上に『春の日は過ぎ行く』を五つ星付けちゃう位に愛している。

そんな監督の作品は、『八クリ』とポジとネガみたいな作品だな、と感じた。

本日は監督のティーチイン付き上映であった。

経営していたクラブが潰れ、恋人とも別れ、おまけに深刻な肝硬変を患ったヨンスは、周囲には留学すると嘘をつき、逃げるように田舎の療養所へ向う。
療養所の最寄のバス停で出会ったウニは、療養所で8年目を過ごしながら、スタッフとして働いていた。肺の6割を摘出した重症の肺疾患患者だが明るくて楽天的なウニは、自身の病気には無頓着で、ヨンスに自分から近付いていく。
田舎の療養所での未来なんて見えない惨めな暮らしの中で、ヨンスはウニに頼り、手を握り、キスをして、遂には夜を共に過ごす仲に発展する。
そして二人は療養所を出て一緒に暮らし始める。
しかし、ウニの助けで健康を取り戻したヨンスは、酷く貧乏臭い田舎の生活に段々と嫌気がさすようになり、いつ死ぬかも知れない病弱なウニの存在も負担になっていく。そんな時に、ヨンスを訪ねて、ソウルから友人が元恋人と共に見舞いにやって来る。

いやぁ、胸が痛かったですね。

別れても忘れられない都会的な女と、自分なしでは生きていくことさえ出来ないかもしれない田舎の女。

これは、かつて夜のソウルでブイブイ言わせていた快楽的な生活と、田舎で地味で小さいけど確かな幸せ感と置き換えても良い。

多分、どちらも大事だし、比べることは出来ないけど、その場面、その場面では、間違いなく愛があったはず。

だからこそ「お前から俺を振ってくれ」ってセリフになるのだけど・・・。

ファン・ジョンミンは、田舎の純情中年のイメージがあるけど、ソウルの夜では都会的なワル風に、療養所では田舎の兄ちゃん風に演じ分けていたように見えました。

大人の男の可愛らしさ、優しさ、だらしなさ、全部ひっくるめて、魅力的です。

病弱なウニを演じたイム・スジョンは、童顔なので可愛らしく見えるけど、演技力は確かにあるし、実年齢は大人の女性。

観る前は、年の差カップルにならないか心配でしたけど、最初のバス停のシーンでダサい服を着て、昔の百恵ちゃんカット風の髪型で登場した時に、あっ、OK!、と思いました。

急に不安になるヨンスを包み込むマリアのような愛が、立場が逆転するとすがり付く。

でも、最後はきっとヨンスを再び、愛で包んであげたんだと思う。

そして、僕的には、ヨンスの元カノを演じたコン・ヒョジンが良かった。

すっごい嫌な女なんだけど、笑顔がカワイイ、都会の女。

そして、それを知ってて、男の前でそう振舞えるズルイ女。

ソウルの成功した女性で、イム・スジョンとの対比が良かったのだけど、この二人の共演って、贅沢だよなぁ。

ティーチインでは、ファン・ジョンミンをキャスティングしたのは、これまでの作品の男性が「静」としたら、ヨンスは「動」だから、という話しをされていました。

だからなのか、前半はホ・ジノ作品らしい心象風景的なカットが少なくて、後半に入ってから、朝鮮半島の西海岸にある大田の田舎の風景の美しさを切り取ったカットが増えているように感じました。

その辺が、これまでの作品とは「ポジとネガ」と感じた理由かもしれません。

ホ・ジノ監督は最近自分の4作品を一気観したらしいのですが、全ての作品の共通項は登場人物が亡くなることだと気付いたそうです。

(今更、気付くな!)

死は身近なものなのに、何処か遠くにあるような気もするし、でも死に直面した時に人は自身の生を感じることが出来る、ってことを一貫して描いています。

肝硬変という病人を演じるファン・ジョンミンは、酔っ払うシーンが沢山出てきます。

『四月の雪』の時だったかな、監督とソン・イエジンが撮影前に一杯引っ掛けてから撮影したと聞いたのは。

今回もきっと、と思ったら、ファン・ジョンミンは素面だそうです。神業的です!

しかし、ある重要なシーンだけは、飲まずには演じられなかったのだとか、それは・・・。

結構、重要なシーンで、なるほど、と思いました。

映画のラストは、病気を再発させたヨンスが療養所に向かう雪道を歩くバックショットで終わります。

療養所の名前は【希望の家】。

ある意味、希望に満ちた終わり方で、余韻に浸れました。

公開期間は短いですが、韓国映画ファンなら必見でしょう。

(満足度:★★★★、オススメ度:★★★★)

追伸

『春の日は過ぎ行く』で来日された時、別れ話ばかり撮る理由として、「成就した恋愛よりも、別れてしまった恋愛の方が愛の記憶は深いから」と話していた当時は独身だった監督ですが、昨年、めでたく結婚されたそうです。

僕は思いっきり、「同感!」と感じていたのに・・・。

お幸せに!!

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オススメ!映画紹介『アイアンマン』鑑賞

Ironman最近増えているアメコミの中では、かなり異色な作品ですよね。

ある紛争地域で自社兵器のデモ実験に参加したトニーは、テロ組織に襲われ、拉致されてしまう。捕虜となった彼は、組織のために兵器の開発を強要されるが、監視の目を盗み、装着すると圧倒的な破壊力とパワーを発揮できる、戦闘用パワードスーツを完成させ、脱出に成功する。
奇跡的に生還したトニーだったが、自らが社長を務めるスターク・インダストリーが開発した兵器がテロ組織に使用されている事実を知り、ショックを受ける。
それを償うためトニーは、助かった自らの命をテロ撲滅に捧げること決断する。腕からのミサイル攻撃が可能な戦闘力、そして戦闘機より優れた飛行性能を持つ、究極のパワードスーツを完成させる。自らの身体に装着し、闘う彼を、メディアは【アイアンマン】として、取り上げるようになっていく。

まず、ロバート・ダウニーJr.をヒーロー物の主人公にキャスティングしようって発想がないですよね。

しかし、これが意外に合っていた。

相棒となる軍人役のテレンス・ハワードも『クラッシュ』とかで好きになった俳優です。

そして、秘書役のグウィネス・パルトロウが良い!

彼女もアメコミ映画に出演すること自体が不思議だったのですが、見事にハマっていました。

既に第2弾も決定しているそうですので、この後、どういう風に物語が転がっていくのか、楽しみですね。

それから、『ハルク』のラストに登場した『アイアンマン』でしたが、『アイアンマン』に登場するのは・・・。

製作がマーベルだから出来る技。

原作では、この後、各マンガの主人公がジョイントして、チームとなって地球を救う展開もあるそうである。

それが実現したならば・・・、スゴイことになりそうですね。

そんなスゴイ予感を残して、次の作品にリンクするのであった。

個人的には『ダークナイト』の方が好きな気もするけど・・・。

(満足度:★★★☆、オススメ度:★★★☆)

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オススメ!映画紹介『次郎長三国志』鑑賞

Jirocho僕的には『寝ずの番』が良かった、マキノ雅彦監督の新作は、笑えて、ホロリとさせるチャンバラ・ムービーです。

祝言を挙げたばかりの妻・お蝶を残し、三年に渡る修行に出かけた駆け出し博徒の次郎長。
彼は、自身の右腕となる大政、悪臭を持つ坊主くずれの法印・大五郎、意外な素顔を持つ森の石松、伊達者の美青年・追分政五郎ら子分たちと旅を重ねるうちに、次郎長の男っぷりに惚れ込んだ者が次々と仲間に加わり、ある事がきっかけで、次郎長の名は東海道中に知れ渡る。
しかし、その名が知れ渡れば知れ渡るほど、敵は増えていく。やがて、お蝶が病に倒れるは、非常事態が発生するはで、次郎長と子分たちは絶対絶命のピンチに!その運命はいかに!?

次郎長の中井貴一さん、大政の岸部一徳さん、大五郎の笹野高史さんは、マキノ組とも言うべき、ベストな配役。

小政の北村一輝もこんなに良い奴は珍しいキャスティング。

そして、なんとなくB級映画の香りをさせる近藤芳正、木村ほうか、そして、なぜなんだの森の石松に温水洋一!

でも、仁義は切れるのに、普通の会話が全くできない石松が、片目を失い、おしゃべりさんになるのにはマイッタ!

温水、ズルイっす!

それから、女優陣が素晴らしい。

次郎長親分のしっかり者の恋女房の鈴木京香さん、艶やかな魅力満載のツボ振り女性の高岡早紀、世話好きで義理人情の世界に生きる女性を演じる木村佳乃の粋な格好良さ、と主演クラスは三者三様に輝いていました。

意外に良かったのが、愛娘の真由子。

TVでの溺愛ぶりのおバカ父娘の印象だったが、啖呵を切ったり、気の強いヤクザ者の妻を見事に演じていました。

ウン、蛙の子は蛙ってことなんですね。

敵役の竹内力、荻野目慶子さんは、期待通りの役回りで大いに笑わせてくれます。

個人的には佐藤浩市、ともさかりえの出番が少ないのが、少し残念か・・・。

こういう娯楽性の高い時代劇を観ることが少ないので、なかなか楽しめました。

(満足度:★★★☆、オススメ度:★★★)

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