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愛読書!『代筆屋/辻仁成』

Daihitsuya読んでいく内に、辻仁成の作品ということを忘れてしまいました。

吉祥寺の【レオナルド】というカフェに行けば、彼に会える。
売れない小説家が文章の訓練も兼ねて始めた手紙の代筆業。依頼主になりきり、上手すぎず、それでも相手の心を感動させるような文章を書き上げてくれる。噂が噂を呼び、本業以上に依頼が殺到するようになってくる。
片思いの相手へのラブレターや、言い出しづらいお断りの手紙、過去の恋人の結婚の祝辞、謝罪もあれば、死んだ孫の代わりについた嘘、そして、遺書・・・。あらゆる手紙を書き綴っていく。

携帯メールなどお手軽にコミュニケーションが図れる時代に、手紙の代筆という職業がまず面白いと思いました。

僕も基本的に面倒臭がりなので、メールで済むなら済ませようと思いますが、やっぱり手紙の持っている重み、インパクトは違いますよね。

文章そのものでなくて、年齢や手紙の内容に合わせた便箋と封筒、そして筆記具を選び、一文字、一文字、下手でも良いから丁寧に書く。

そうしたら、誠意だったり、想いだったり、カタチにないものが、相手に届き、心を動かすことが出来るかもしれない。

10章からなる作品は、依頼主とのインタビューの様子だったり、往復書簡だったり、1章丸ごとが長い長い手紙だったりと、様々な手紙が登場します。

ある時は恋する女子高生だったり、老人だったり、中年男性だったり、バラバラの年代の人物が登場し、主人公は手紙を綴っていく。

最初に辻仁成の作品であることを忘れた、と書きましたが、そこにある手紙は依頼主のものであり、売れない小説家の作品であって、そこに辻仁成がいないような錯覚がしたのでした。

サクラとか、季節の挨拶も、パッと景色が広がる感じがしました。

あとがきに書かれている、フランス在住の辻仁成を、自らも手書きの手紙で口説き落として、「手紙が重要な役割を果たす物語」を執筆させた出版社の編集員のエピソードもなかなか良いアクセントにはなっていたかな。

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