« 愛読書!『東京バンドワゴン/小路幸也』 | トップページ | Live! BoA LIVE TOUR 2008 ~THE FACE~@東京国際フォーラム »

愛読書!『闇の子供たち/梁石日』

Yami_2梁石日と言えば、『血と骨』や『夜を賭けて』のような在日外国人として生まれ育った自伝的な小説というイメージでしたが、今、アジアで起きている幼児売春、臓器売買といった現実を描くということで、興味を抱きました。

・・・内容、凄過ぎます。

特に前半の描写は生々しい・・・。

東京の大学で社会福祉を学んだ音羽恵子は、アジアの子供たちのために何かしたいという思いで、バンコクの社会福祉センターに勤務し始めて3年。女性所長のナパポーンとスラム街を視察し、バンコクの貧民層の厳しい現実を目の当たりにする日々を送っていた。センターに読み書きを習いに通っていたアランヤーという少女が最近、姿を見せないのが気がかりだった。
貧困に喘ぐ山岳地帯では、幼い子供たちが実の親に売春宿に売り渡され、世界中からやってくる大人たちの玩具として弄ばれた挙句、エイズに感染すると黒いゴミ袋に入れられて、不法に投棄されている。
恵子は、そんな現実を、大学の先輩で、新聞社のバンコク駐在員記者・南部浩行に相談する。そして、南部も日本人の子供が、闇のルートでタイで臓器移植手術を受けるらしいとの情報を得る。それは、患者と同年代の提供者が生きたまま臓器をえぐり取られるということを意味していた。
南部は裏を取るべく、恵子は手術を止めさせるために、東京-バンコクを往復し、奔放するのだが・・・。

宮崎あおい、江口洋介主演で映画化されるということを聞き、読み始めました。

前半は、マフィア組織による幼児売買、監禁、暴力による制裁、そして、彼らを購入する欧米人、日本人たちの様々な要求が、これでもか、これでもか、これでもか、と描かれていきます。

正直、このままページを進めて良いのだろうかと、躊躇しました。

中盤になって、恵子が登場し、我々と同じ目線で驚き、嘆き、奔走するようになってからは、一気に読む速度が加速しました。

物語は、日本人の少年の臓器移植手術と、社会福祉センターが参加する全国統一集会を目指して、恵子と「バツイチ」の南部の淡い恋心を絡めつつ、進んでいきます。

ナパポーン等、センターの人たちの活動をマフィアだけでなく、警察、軍隊、政府が妨害するという展開に憤りを感じていきます。

志が高く、使命感に燃える恵子は、日本にいたら熱くてウザイ女なのかもしれませんが、前半にそうならざるを得ない現実を丁寧すぎるほどに提示したことで、そう思わないようになっていたと思います。

しかし、たった一つの命を守ることもできず、それでも守りたいという理想のために奔走する恵子と、新聞記者として現実を暴き、でも何年かしたら日本へ帰る記者という南部の立場は、取材・調査を経て、すれ違い、決定的に決裂していくのは、仕方がないことなのでしょうか。

恵子の視点というのは、外国人という扱いをされながら、でも日本で生きている、という作者自身の視点なのかもしれません。

映画版では、主人公を江口洋介扮する南部に変更し、不法臓器売買の方へ比重が傾くのだとか。

そうなるとラストも変わってくるはずですので、この重苦しい原作がどのように変化するのか、宮崎あおいの恵子の演技と共に、非常に楽しみに思っています。

|

« 愛読書!『東京バンドワゴン/小路幸也』 | トップページ | Live! BoA LIVE TOUR 2008 ~THE FACE~@東京国際フォーラム »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/83452/21960983

この記事へのトラックバック一覧です: 愛読書!『闇の子供たち/梁石日』:

« 愛読書!『東京バンドワゴン/小路幸也』 | トップページ | Live! BoA LIVE TOUR 2008 ~THE FACE~@東京国際フォーラム »