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タイ式シネマ★パラダイス2008③『ミー・マイセルフ 私の彼の秘密』

日本でも『心霊写真』が公開されたことのあるアナンダ・エヴァリンハムが主演のラブ・ストーリーです。

まぁ、解説なんかにも書かれていますが、「もしも自分の彼がゲイだったら?」というある意味でタイらしい、現実にも起こりそうなテーマになっています。

イベント会社に勤めるOLのウムは、先輩のように女でも仕事が出来るようになりたいと憧れを抱いてはいたが、現実では甥っ子のオムの面倒を見ることになったり、付き合っていた男に捨てられたり、人生に悲観していた。
ある日、携帯電話で話しながら車を運転していた彼女は、田園の道で若い男性を轢いてしまう。病院に担ぎ込んだ青年が、頭部を強く打ち記憶喪失だと知り、身元が判明するまでの間、彼を引き取ることになってしまう。
手がかりは事故当時に身に着けていた【テン】というペンダントトップのみ。
こうして彼女と彼の奇妙な同居生活が始まり、お互いにお互いが励まされ、いつしか二人は気持ちを近づけていくのだが・・・。

前半はツキに見放されたウムとその周囲の人々をコミカルに展開しますが、テンの素性が分かってからは一転シリアスに悩む恋人たちを切なく描いていきます。

東南アジアで最も旬な俳優であるアナンダが、心優しい記憶喪失の青年を髭面でワイルドな面も醸し出しつつ、妖艶なダンスを魅せるショーレディという二つの顔を演じます。

オーストラリア人とラオス人のハーフであるエキゾティックな顔立ちが、どちらにもマッチします。

(最近はトレードマークだったロン毛をバッサリ切ったらしく、どちらかというとオーストラリアのさわやかサーファー系になってしまったようです。)

割とセンセーショナルな紹介のされ方をしていますが、実際にバンコックのそっち方面の方々からは「こんなストーリーは有り得ない」と言われたそうです。

が、僕は結構そんなことはなかったのではないかなぁ、と思いました。

この作品で本当に言いたかったことは、男とか女とか表面的な問題ではなくて、「選択すること」、もっと言えば「人生は選択することが出来るんだよ」ってことだと思います。

今まで生きてきた自分。

今を生きている自分。

そして、今後、こうありたいと思い、こうであって欲しいと思われている自分。

きっと選択肢はいくつだってあるはずなのだから。

テンの生い立ちは極端な状況に置かれていることが分かってくるし、だから、ウムと出逢い、愛し合うことでアイデンティティ・クライシスに陥ってしまう、今まで当然と思っていたことに不快感を覚えたりする、そんな描き方もあって良いのではないでしょうか。

ラストシーン、恋人たちはこの後はどのように生きていくのか、具体的に提示はしてくれない。

それでも、映画が始まった時の二人よりも心が一歩も二歩も成長していることは明らかだし、どんな選択をしたとしても幸せであって欲しいと願ってしまう。

途中に出てくる意味不明なセリフが、最後に来て重みを増し、映画自体を引き締めている。

先に観た『メモリー』が記憶喪失中の記憶を失うのに対して、こちらは記憶や感情を抱いたまま過去の自分に出逢ってしまうことが、とにかく切なかった。

うん、なかなか面白かった。

(満足度:★★★☆、オススメ度:★★★☆)

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