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『ラスト・コーション 色|戒』鑑賞(オススメ映画を紹介します)

Lust昨年のヴェネチアで金獅子賞を受賞した話題の作品。

日本占領下の中国・上海。傀儡政権下特務機関の大臣・イー。
イー暗殺の命を受け、香港の貿易商の夫人として彼の元へと忍び寄る女子大生スパイのワン・チアチー。
彼女はイーを誘惑し、やがてその魅力で彼を堕とすことに成功し、人目をはばかる危険で激しい逢瀬を重ねるようになる。
しかし、運命の時は刻々と迫り、ついにチアチーはイー暗殺計画を決断しなければならない状況になっていく。

オスカーを獲得した『ブロークバック・マウンテン』と同様、禁断の愛の姿、衝撃的な性的描写が話題になっていましたが、実際に観てみると確かにそのシーンは結構なボリュームであるのですが、とにかく切なかった。

香港の大学時代、演劇部の先輩で演出兼俳優の抗日青年クァンに恋心を抱き、彼に気に入られるために香港に避難中の政府高官のイーに近付いたチアチー。

もしも、こういう時代でなければ、間違いなく愛を成就していたであろう二人。

好きな女性を憎むべき相手の愛人役を演じさせ、貿易商の社長夫人としての男扱いを習得させるために自分の親友に抱かせてしまうなんて、戦争という暗い時代だったからなんでしょうね。

前半は、若い二人の青いの恋。
後に、「なぜ、あの時にそうしてくれなかったの?」というセリフが全てを示している。
う~ん、切ない!!
ワン・リーホンもいい仕事しています。

しかし、この作品の肝はやっぱりトニー・レオンでしょう!

いつになく老けメイクで、心の欠片すらも見せない、警戒心の塊のような用心深い中年男を見事に演じています。

そんな常に周囲にバリアを張っている男が、唯一、心を解き放ち、本能のままに過ごす時間が、チアチーとの秘会の時間だったのでしょうね。
緊張や抑圧からの開放を示す手段として、過激とも言えるベッド・シーンを提示する必要があったのではないでしょうか。

とにかく、こんなトニーは観たことがない!
そして、その圧倒的な存在感が素晴らしい!!

ヴェネチアでも絶賛された新人タン・ウェイが、それに見事に応えていました。
登場した時の化粧っ気のない可愛らしい少女が、舞台女優を経て、妖艶な社長夫人を演じる女スパイになっていく過程は、自然に見えました。

嘘から始まった愛は、肌を重ねる度に女の中で変化していく。
いつかは正体がばれてしまうのではないか、という不安。
自分以外にも愛人がいるのではないか、という疑念。

表情の一つ一つが、一々素晴らしいのですよね。

そして、忙しくて不器用なイーなりの愛のカタチを提示された時、彼女が取る行動は・・・。

すごく、すごく、切なかった・・・。

そして、全てを理解した時に、冷徹な男が見せる一筋の涙・・・。

トニーは主演の割りに出番少ないなぁ、と思ったけど、最後の最後に全部、持っていきましたね。

渋谷のル・シネマは、満席でした。
R-18ですので、大人の方に、深くて、痛い愛の世界を堪能していただきたいです。

(満足度:★★★★☆、オススメ度:★★★★)

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