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『長江哀歌』鑑賞(オススメ映画を紹介します)

Choko中国のジャ・ジャンクー監督が、昨年のベネチア映画祭で金熊賞(グランプリ)を受賞した作品です。

最近の欧州映画祭は、アジア作品の勢いがありますよね。

まぁ、欧州の映画祭のグランプリって「何で、これが?」というのも少なくはないのですけど。

長江の三峡ダム建設のため、水没することになっている古都・奉節が舞台。

男は、16年前に生き別れた妻と娘を捜しに山西省の炭鉱からやって来た。
妻の残していった住所を頼りに実家を訪ねたものの、そこはすでに川底に沈んでいた。
役所に問い合わせてもらちがあかず、結局、彼は安宿に腰を落ち着けて2人の行方を捜すことにする。

そして、もう一人、やはり山西省からやって来た女がいた。
彼女もまた、新しい人生を歩き出すために、2年前から音信不通の夫を探していた。
昔、勤めていた工場では、夫の使っていたロッカーの鍵を破壊して開けて見るし、夫が社長をしていると聞けば、その会社へと乗り込んで行く。

二つの物語は、似ているようで似ていないし、繋がっていそうで繋がっていない。

煙草、酒、茶、飴といった市民生活に根ざした嗜好品がテーマになっていて、「ウサギ印の奴か?」など、中国人じゃないと分からないネタもありました。

2600年の歴史のある古都が、たったの2年間で全て取り壊されてしまう。
しかも、そこに住む100万人の市民は、転居を強いられている。
カメラは中国の一大プロジェクトで変わり行く景観の中で、相も変わらぬ日々の生活を続ける普通の人々を映し出していきます。

新しい物と古い物。
なくなって行く物の中にも、愛着があって、なくなって欲しくない物もあったりします。

主人公以外は、本当に町にいた市民を使っているそうです。
正直、演技は下手くそです。
が、1日60元(900円位)の解体工が、炭鉱夫の日給が200元(3,000円)と聞いて、炭鉱の危険性も知らずに、軽い気持ちで「この仕事が一段落したら、行っても良いか」って言ってしまうのは、すごく自然なリアクション。
なかなか演技では出来ないなぁと思いました。

李白の歌にも詠まれていたという風景は、まるで山水画のように美しい。

しかし、物語に関係ないところで、UFOが飛んでいたり、古都に場違いな近代的なビルディングがロケットになって飛んでいったり、ビルとビルの間を綱渡りする人がいたり、大きなビルディングがいきなりダイナマイトで倒されたり、橋の上でみんなで社交ダンスしていたり、不思議なシーンが織り込まれます。

主人公達の単調な生活や人探しがイマイチ盛り上がらないので、観客はついついそちらに目を奪われますが、逆に、生きるのに窮々で精一杯だったり、人探しという目的に向う主人公達にとっては、我々が映像の中に見つけてしまう出来事の方が、どうでも良いことなんですよね。
実際に気付かなかったりするし。

単に注意を引いたり、笑いを取ったりするためではなく、結構、深い思想に基づいた映像のようでした。

そもそもダムに沈んでしまう建物をハンマーで一つ一つ解体する意味ってあるんだろうか・・・?
僕はそっちの方が気になりました。

多分、映画に娯楽を求める人には苦手な世界かもしれませんが、大通りに平行して走る細い路地を歩くことに旅の喜びを感じてしまう僕にとっては、非常に好きな感覚な作品で、楽しめました。

ところで、男主人公を演じたハン・サンミンは、ジャ・ジャンクー監督のいとこで、本当に山西省の炭鉱夫だったそうなのですが、1971年生まれということで僕と同じ年なんですよね。

うん、驚いた!

(満足度:★★★★、オススメ度:★★★)

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