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『転校生-さよならあなた-』鑑賞(オススメ映画を紹介します)

Tenkosei小林聡美&尾美としのり主演の前作から25年だそうです。

当時、僕は小4でしたが、小林さんの浜辺での大胆なポーズや、尾美君のナヨナヨした動きは印象的でしたし、中学生の時にビデオでも観ました。

両親の不仲により生まれ故郷の信州へと越してきた一夫は、登校初日の教室で幼なじみの蕎麦屋の一美と再会する。幼い頃に遊びに行った思い出の“さびしらの水場”に行った二人は、誤まって水の中に転落し、気が付くと互いの身体と心が入れ違っていた。途方に暮れながらも、それぞれの振りをして普通の生活をしてみようと試みるのだが・・・。

舞台が尾道から長野に変わっても、転校生が一美から一夫に変わっても、美しく雄大な自然を映し出す監督らしい絵心に、男女の身体と心が入れ替わったことによる違和感、戸惑いが、次第に相手を思いやる心に変化し、淡い恋愛感情に変わっていく物語が展開していきます。
特に前半は前作をなぞってコミカルに、そして、二人の「別れ」へと向う後半のエピソードは新作のオリジナルとなり、切なくしっとりと、全く別の物語を観させてもらったなぁ、と感動しました。

まずは、この役を演じるために生まれたような連佛美沙子。実際には、彼女を想定したシナリオが、一美、そして、「一夫の心を持った一美」であるカズオの方を連佛チャンに近付いていったのだと思いますが、立派に演じていました。

小林さんと比較するのは申し訳ないですけれど、典型的な美人顔だし、最初からアイドルなので、大胆さに欠けた感じはしますが、可能な範囲で演じた露出シーンも、彼女の持つ純粋無垢な個性でイヤらしさは感じませんでした。

また、小林さんのはじけた感じは、前作の「夏の海」のイメージにマッチしていましたが、連佛チャンは「山里の秋」に合う日本的なしっとりとした風情があり、それが後半の切なくも希望のある世界観を作り出せたのだと思います。

それから、もう一人の主人公である一夫と「一美の心を持った一夫」であるカズミを演じた森田直幸君も好演。
下手をすると単なるオカマちゃんになってしまう所を、終始半泣きベソで、女のコとしてきちんと演じていたのは見事です。
身体が元に戻った後の連佛チャンの演じる一美を見ていると、森田君が彼女の演技の特徴を良く捉えていたことに気付いて、やっぱり侮れないヤツじゃん、と思いました。

全体としては、連佛チャンのインパクトが強いのですが、実際には一夫が不思議な体験をすることで大人となり、最後はもっと広い世界へと旅立っていく成長の物語になっていて、相当の演技力が必要な役です。

弟子に当たる呉美保監督の『酒井家のしあわせ』を観て、「やっと見つけた」と思ったそうですが、その話は知っていたので『酒井家』を観た時から納得し、楽しみにしていました

そして、尾道から登場するという一夫の元カノ・アケミ役の寺島咲チャンは、二人より年上というせいもあるかもしれませんが、一夫と別れ、ピアノと決別することで一足先に大人になるという役どころで、何だか急に大人になってしまったような印象がしました。
彼女のシーンでは、一夫の母親を演じる清水美砂さんと、カズオ(一夫の心を持つ一美)に会いに行くシーンは良いシーンでしたね。ジーンとしました。
そして、ラスト近くで、尾道の海をバックに堤防を走るシーンはキレイでした。

咲チャン以外にも、厚木拓郎君、石田ひかりさん、高橋かおりさんと大林組から巣立った役者が多数登場しています。
正直、登場して欲しかった常連さん(知世さん、歩チャン、宝生さん等)もいるのですが、折角出演してくれたので、ピカ(久し振りに呼んでみた)のシューマンは聴いてみたかったな。

一美の亡くなったお祖母ちゃん役の入江若葉さん(前作では一美の母親役)は大林組の常連ですが、久し振りにお会いしたような気がします。
宍戸錠さん(前作では一美の父親役)演じる旅一座とのエピソードも不思議でありながら、大人になるための通過儀礼って感じがしました。

あっ、一座の中に「ヒロシです」がいるのですが、本名での出演なので、登場してから少ししてから気付いたので、却って笑えました。公開順は逆転しましたが監督が一つ前に撮った『22才の別れ』で俳優としての魅力を発掘したそうです。

読売新聞の評論で、「前回は父親の目線、今回は祖父の目線で見つめているよう」とあったのですが、一美の両親の田口トモロヲさんや古手川祐子さんより、お祖父ちゃんの犬塚弘さんの方が二人に近しい存在だったような気がして、印象に残りました。

尚、尾道3部作で尾美君の演じた主人公達は全て監督自身を投影していて8mm撮影が趣味だったりしますが、今回の一夫は名ピアニストという設定です。(監督はピアノも弾かれますよね、確か。)
そこで、妄想壁のある一美と音楽家の一夫が、二人で一つになって紡ぎだす物語と音楽が前面にフューチャーされています。

映画のラストに「さよならあなた」というセリフを使う、と決めた直後、監督の娘さんが偶然にライブハウスで「さよなら あなた~」と歌う寺尾沙穂さんを観て、余りの偶然に鳥肌が立ち、涙したという「さよならの歌」。
某TV番組ではありませんが、この世の偶然は必然だと思いますが、この清らかなメロディと歌声は、映画の世界にピッタリ寄り添い、印象的です。

前回の『転校生』の時は、本当にまだコドモだったので、『時をかける少女』や『さびしんぼう』、『青春デンデケデケデケ』の方が思い入れが深く、この作品はその延長線上にある世界として楽しめました。
もっと分かりやすく言えば、この作品は単純に「転校生」をリメイクしたのではなくて、過去の全ての大林ワールドを再構成したという印象がしています。

少女は少女のままでそこに留まり、少年は男になりいつか旅立っていく。
大林監督のロマンチズムを感じました。

空席の方が多いのが、悲しい!!

(満足度:★★★★、オススメ度:★★★☆)

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受信: 2007年7月 4日 (水) 20時30分

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