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『どろろ』鑑賞(オススメ映画を紹介します)

Dororo手塚治虫さんの原作を読んだのは、大学生の時でした。結構好きな作品だったのですが、物語が佳境に入ったところで、「二人の旅は続く・・・」みたいなラストだったのを覚えています。昔、漫画誌は発刊しては消えていくという繰り返しで、手塚漫画には連載途中で終了が決まり、強引に終わらしたものが、結構多いのですよね。

魔物に身体の48ヶ所を奪われ、取り戻す旅を続ける青年・百鬼丸に妻夫木聡、彼の妖刀を狙い、旅に引っ付いていく孤児の泥棒“どろろ”に柴咲コウという組み合わせで、どんな映画になるのだろうと楽しみにしていました。

“どろろ”は原作では子供なのですが、乱世に生き残るために男として育てられた少女で、自分の両親を殺した国主を憎み、その息子をそうとは知らずに兄のように慕い、やがて彼が仇の一族と知った後も旅を続けるという複雑な設定です。「子役には、この心理を演じるのは不可能」という判断だったらしいのですが、柴咲さんを持ってきたのには斬新ですよね。

恨みを乗り越える過程の微妙な表情とかは上手いとは思いましたが、正直、男の子には見えなかったし、終始キンキン声を張り上げていてうるさいです。とは言え、重く暗くなりがちのストーリーを明るい方向に引っ張っていったのは彼女の演技なので、絶妙なバランス感で演じていたとも言えますし、二人の関係を恋愛感情とも受け取れる関係に置くことで理解しやすくなっていたと思います。

「日本は“本物のエンターテインメント”に目覚める」のキャッチコピー通り、アクションには香港から『少林サッカー』や『LOVERS』のアクション監督チン・シウトン氏を迎えた魔物との決闘シーンはダイナミックですし、撮影されたニュージーランドの風景は空が青くて、一面の砂地の砂埃っぽさや二人が駆け抜ける林の緑の鮮やかさ、ラストの広大な海辺のシーンまで雄大な自然を感じることが出来ます。

反面、エンターテインメントに徹したことで、手塚作品の持っている哲学観みたいなものは薄まっていたかもしれません。

百鬼丸の苦悩する感じが割とあっさりしていて、例えば「憎しみによる仇討ちは次の憎しみを生むだけ」と、闘いの中で学んでいくこともあったでしょうし、五感を失っていて第六感の発達したテレパシストですから、斬られた相手がどう感じるか、他人の痛みが自分に返ってくる苦痛も感じているはずです。

“どろろ”の役回りにしても、他の手塚作品のヒロインがそうであるように、仏教で言えば菩薩、キリスト教で言えばマリアのような「全てを許し、受け入れる母なる象徴」という部分があると思います。単なる恋愛感情にしてしまうと少し軽くなってしまったような気がします。

父親であり、宿敵・醍醐影光役の中井貴一さんは『陰陽師Ⅱ』の役に被っていますが、悪役も悪くないですね。ただ、魔の権化だった男が、最後の最後に父親としての選択をします。前フリとして悪になりきれない弱い部分、例えば、妻・百合(原田美枝子)や第二子・多宝丸(瑛太)へのギリギリ見せられる人間的な愛情、をもう少し見せていたら、もっと深みがあって良かったかもしれません。

とは言え、これらを全て入れていたら決められた尺の中に収まりきらないですし、作品全体としての出来は決して悪いものではありません。

妻夫木君がインタビューで「まだ取り戻していないパーツが24ヶ所あるから、監督に続編を作ると呼ばれれば、出演したい」と言っていました。そうなると原作にはない部分なので、完全オリジナルということになります。どうせやるならもっと徹底したアクション活劇として、また、百鬼丸と“どろろ”のラブストーリーとして、とことんエンターテインメント性を追求した作品を観てみたいような気もします。そのためにはヒットしてもらわないと・・・。(満足度:★★★☆、オススメ度:★★★★)

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