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『それでもボクはやってない』鑑賞(オススメ映画を紹介します)

Soreboku11月から傑作を有難うございます。僕は朝一番の回で観たので大丈夫でしたが、2回目以降は結構長い列が出来ていて、立見が出るほどの大盛況でした。

周防正行監督の11年振りの新作となる“裁判映画”ですが、実は監督の作品(『ファンシイダンス』、『シコふんじゃった。』、『Shall we ダンス?』)はTV放送でしか観たことがなく、映画館で観るのは初めてでした。みんな好きなのですが、学生で毎月そんなに何本み観られなかったり、邦画離れする時期だったりしたので・・・。

内容としてはすごくシリアスで、笑いの要素としては竹中直人演じる大家の出てくるシーン位ですし、終わり方もハッピーエンドと言うわけではないのですが、非常に興味深い展開で、2時間半という時間が退屈することなく過ぎていきました。

役所広司演じる荒川弁護士のセリフに「痴漢冤罪事件には、日本の刑事裁判の問題点がはっきりとあらわれている」というのが登場します。警察はまず自供を取ってから、状況固めをし、起訴となれば、裁判官は有罪を前提に量刑の判断に終始するので、判決の99.9%が有罪というのは驚きました。被告人が否認している事件でも、無罪になるのは3%程度だとか。特に痴漢裁判の場合、被害者の届だけで確固たる証拠もなく、立証するのも難しければ、覆すのも難しいという状況下で、「被害者である女性が名乗り出てくる勇気は尊く、嘘をつくはずがない」的な心証だけで判断が左右されてしまうのは怖いですよね。

綿密な取材に基づくエピソードの積み重ね、登場人物のキャラクター構築、見逃しそうな細かな演技など待った甲斐があったなぁ、と思いましたが、男性ならば誰もが被告人側に立つ可能性があり、女性ならば被害者になり得るという、身近に感じられるテーマを発見した時点で勝利を手にしたと言えるのかもしれません。

荒川弁護士は元裁判官という設定で、日本の裁判の問題点を説明する物語の推進力みたいな役なのですが、役所さんが演じることで単なる説明役にはなっておらず、「一審で負けても、控訴審で判決を覆せば勝ち」的な策士の余裕を見せたりもしてくれるところも魅力的でした。

また、頼りなげな26歳フリーターの被告人役の加瀬亮君は見事にピッタリだし、女性として痴漢の弁護に嫌悪感を抱きつつ、彼の誠実な人柄に触れて弁護を続け、また裁判の問題点を理解して戦っていく新米弁護士役の瀬戸朝香も役に合っていると思いました。ホラーとかオーバーアクションな役柄よりこういう淡々としながら変化していく役の方が良いのではないでしょうか。

それから、極端に個性的な役を演じることが多い、もたいまさこさんが、普通の母親を普通に演じていて、我が子の無罪を信じて必死に目撃者探しのビラ巻きをするシーンはじんわりと感動できるシーンの一つになっています。

朝の情報番組で、アメリカでの試写会では、場内が爆笑になったと聞きました。陪審員制度のアメリカとは裁判の仕組みがギャップがあるのは確かですが、何処で笑えたのか、非常に気になりました。「すごい面白かったよ。でも、これは現実ではないよね。もし本当だったら問題だよ」ってコメントしていました。(満足度:★★★★★、オススメ度:★★★★★)

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