« 『ユア・マイ・サンシャイン』鑑賞(オススメ映画を紹介します) | トップページ | ラグビーW杯アジア最終予選強化試合「日本vsレッズ」 »

『父親たちの星条旗』鑑賞(オススメ映画を紹介します)

クリント・イーストウッド監督の<硫黄島2部作>の1作目、アメリカから見た硫黄島の戦いを描きます。第2弾の日本人視点による『硫黄島からの手紙』を楽しむためには観ておいた方が良いと思い、鑑賞しました。

有名な山頂に星条旗を掲げる6人の兵士の写真に隠された真実、生還した3人に待ち受ける苦悩の日々、そして36日間に渡る激戦の中で彼らは何を見たのか。戦争映画というよりも、硫黄島に関わった若者たちの人間ドラマになっています。硫黄島で繰り広げられる惨劇も衝撃的ですが、嘘で固められた星条旗の英雄伝には、プロパガンダ(虚偽欺瞞を含む、政治的なメッセージ)の恐怖も感じました。

主要となる3人の内、『クラッシュ』のライアン・フィリップ、『ウインドトーカーズ』のアダム・ビーチの2人が出演していますが、2人とも看板を背負えるほどの大物俳優ではなく、「戦争という状況の中で主人公はいない。無名の兵士たちの物語」ということを示した“監督こだわりのキャスティング”と言えるかもしれません。物語の中でも、戦意高揚のために英雄に祭り上げられた彼らは、「僕たちはヒーローじゃない」と言い続けます。「本当の英雄は、今も尚、戦地で戦っている」と。

衛生兵の息子が関係者に取材していくという形で進められるのですが、硫黄島の戦い、その直後のアメリカ、そして21世紀の現代と3つの時間を往来しながら進むのですが、初めは少々戸惑いました。でも、物語が衛生兵のドク、アメリカン・インディアンのアイラ、伝令係のレイニーの3人に絞られ、アメリカ全土の戦時国債キャンペーンツアーと戦場の回想シーンが交互するようになると、他の兵士達との関係も理解でき、進行に慣れてきます。

衛生兵と言うのは死者を最初に確認しなければならない役目ですから、戦争の悲惨さというのをダイレクトに伝えることができます。あちこちで火が上がれば、誰かを救うために、他の命を見捨てることになり、結果としてその両方を失わなければならないこともあります。自らも負傷した彼は後ろめたさを感じながら、アメリカに生還します。ツアーを勤め上げた後は、戦争のことを家族にさえ語ることなく、葬儀屋として一生を終えます。ライアンが繊細に演じているのが分かります。

それにしても、“英雄”になるのが、衛生兵と伝令係、唯一の本当の兵士が当時は差別を受けていた有色人種(しかしネイティブ・アメリカン)という事実には深いものを感じます。アイラはアルコールに溺れるようになり、レイニーは出会った政治家や経済人をツテにのし上がろうとしますが相手にされず、過去の栄光として忘れ去られていきます。

スタッフロールは、例の写真と同時期に従軍写真家によって撮られた写真が流れるのですが、観て来た物語は61年前に本当に起きたことなのだな、と感慨深いものがあります。映画では日本兵は見えるか見えないかの位置でしか映っておらず、次の映画では反対側から見せなかったものも見えるのでしょうし、より悲惨であろう結末を思うと興味が湧いてきました。(☆☆☆☆☆)

Flag

|

« 『ユア・マイ・サンシャイン』鑑賞(オススメ映画を紹介します) | トップページ | ラグビーW杯アジア最終予選強化試合「日本vsレッズ」 »

「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/83452/4110447

この記事へのトラックバック一覧です: 『父親たちの星条旗』鑑賞(オススメ映画を紹介します) :

» 個人向け国債はじめませんか? [個人向け国債はじめませんか?]
個人向け国債(財務省 郵便局 証券会社)の募集 キャンペーン情報  個人向け国債の仕組みの基礎知識(利率 金利  利息 保証金 信用取引 メリット 口座開設方法) 個人向け国債について基礎からしっかり身に付けます!! [続きを読む]

受信: 2006年11月 9日 (木) 00時55分

« 『ユア・マイ・サンシャイン』鑑賞(オススメ映画を紹介します) | トップページ | ラグビーW杯アジア最終予選強化試合「日本vsレッズ」 »