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第19回東京国際映画祭<第8日目>

今日からは渋谷をメイン会場に移しての上映になります。移動しなくて良いのは楽だし、待ち時間には買い物とか出来るのも良かったです。

○分かち合う愛・・・インドネシアの一夫多妻制をテーマにした映画です。インドネシア映画自体が目に触れる機会がないこともありますが、現在の日本ではまず考えられないテーマだけに興味深く、楽しみにしていました。

一人の男性を複数の女性で分け合う夫婦の3つの物語が描かれますが、第1話の政治家と女医の物語が少々コミカルで面白かったです。スキャンダルになるのを恐れて、愛人達を次々に妻に迎えるわけですが、第二夫人の時は嫉妬した主人公も、3人目の時は冷静に迎え入れます。テレビのトークショーでも、夫の政治活動のために、一夫多妻制度に理解を示す良妻を演じて、反対派の教授と激論を交わしたりもします。しかし、脳卒中で倒れた夫は半身不随になり、言葉の障害が残るのですが、久し振りに発した言葉が正妻の長男に対して「妻は一人が良い」というものでした。そして、お葬式の当日までオチが待っているのでした。

女医の産婦人科にやって来るレズビアン的な関係になった妻同士が結託して脱走する第2話、政治家一家が頻繁に使っている鳥料理屋を舞台にした非イスラム教徒である中国系の若い女が主人公の第3話と続きます。

Q&Aでは、第3話で中国系女性を演じた女優のドミニクさんが登場。中国と僅かながら日本の血が入っているとのことですが、スクリーンで見るよりもはるかにエキゾチックな顔立ちで「メークアップ・パワー」と笑っていました。元々がモデルで、演技初体験ということでしたが、映画上は19歳、実年齢は18歳というのでビックリさせられました。因みに、彼女自身は一夫多妻制度には賛同しかねる、とのことでした。

○ガレージ・・・今回の映画祭で一番の拾い物と言っても良いかもしれません。インドネシアの地方都市を舞台にしたロックバンドのサクセスストーリーです。

バンドとして集まった自分達の音の世界を共有できる仲間たち。前半はバンドの曲に乗った疾走感が気持ちよく、盛り上がります。しかし、次第にメンバー間に生じる問題、恋愛だったり、家族との関係だったり、内輪揉めだったり、と不協和音に変わっていってしまいます。バラバラになりかけた3人が、最後には「もう一度、俺達の音楽をしようぜ」と集まってきます。こう言うストーリーは、多分万国共通で皆が好きなのでしょうね。特に、高校時代に少しだけバンドを組んでいた僕には、「そうそう」という部分はありました。

主人公の3人は2,000人近いオーデションで選ばれたそうなのですが、劇中歌は全てオーディション後に3人で創作した曲ということで、驚きました。女性ヴォーカルの声も良い感じだし、日本のインディーズっぽい部分もあったりもして、サントラが欲しくなってしまいました。彼等は映画が終わった現在も3人でのバンド活動を続けており、全国ツアー、そして第2弾アルバムを製作中なのだそうです。

○イザベラ・・・パン・ホーチョン監督の新作です。シアターコクーンの2階のサイド席まで一杯になったのは、今回の映画祭では初めてだったのではないでしょうか。この映画祭の常連で、人気の高い監督であることが分かります。

99年のポルトガルから返還直前のマカオが舞台です。かつて付き合っていた女性が自分の知らないところで自分の子供を産み、その子供に出会ってしまったら、という男性にはドキッとさせられる内容です。僕の付き合った方で全く音信普通と言う方はいないので、残念ながら(?)大丈夫だと思います。昔からマカオに行ってみたかったのですが、香港とも違う異国情緒漂う風景、建物や坂道に、美味しそうな食べ物が出てきて、それだけで嬉しくなってしまいました。

娘に本当に出会ってしまった男をチャップマン・トーが哀愁味を帯びた演技を見せてくれます。これまで、コミカルな役の中で最後に泣きの芝居を見せるオイシイ役が多かったように思いますが、今回はずっとシリアスです。とは言え、16歳の娘に「君の目はかつての恋人に似ている」とナンパしたり、酒・タバコ・ギャンブルを教えたり、という困った父親(しかも警察官)なのですけどね。

逆に渋い演技を見せることの多い(そうでもないかも?)アンソニー・ウォンが、短いシーンで3回だけ登場するのですが、場内は大爆笑になっていました。監督の話では「収録は4時間位だったのですが、その間にハンバーガー7つ、麺4杯、鍋料理の肉3皿くらい食べたので、彼にとっては美味しいはずがないのですが、美味しく見せているのは彼の演技力によるところです」と言うことでした。因みに、監督の演出手法は「演技力のある俳優をキャスティングすること」だそうです。

ティーチンインを聞かなければ分からないことを一つ。16歳の娘がタバコを吸うシーンが何度かあるのですが、それは連鎖を示しているのだそうです。「母親が失恋して傷付く→タバコを吸う→タバコ屋に通う→父親に出会う→娘を産む→母親の真似をして娘もタバコを覚える→母親は肺ガンで死ぬ→娘がチャップマンを探し出し、一緒に生活をし、二人でタバコを吸う」と言う風に。ラストで「今度は二人で禁煙しような」と言うセリフがあるのですが、これまでの悪い流れをそこで断ち切ろうという意味なのだそうです。深いなぁ!!

さて、映画祭もいよいよ明日がラストです。どの作品がどんな賞を受賞するのか。僕は『アジアの風』のクロージング・セレモニーに参加する予定です。

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コメント

私も昨日『イザベラ』を見て、哀愁あふれるチャップマン・トーに
グッと来てしまいました。いつも通りダメな感じも出しているのに
ずっとシリアスで、こんな演技もするんだなあ、と感慨深いです。
ぜひ『イザベラ』を劇場公開してほしいです...。
音楽もマカオの町並みと映画の雰囲気に合ってましたね。

投稿: rivarisaia@春巻 | 2006年10月29日 (日) 16時33分

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