第19回東京国際映画祭<第1日目>
今年も始まりました東京国際映画祭。今年は『アジアの風』部門の作品を中心に鑑賞します。(特別招待やコンペ部門の作品は、後に一般公開されることも多いので・・・。)
初日の今日は、六本木→渋谷→六本木と移動を繰り返しての参加となりました。
○悲しき天使・・・『日本映画・ある視点』部門のオープニングは、大森一樹監督の新作です。解説や公式HPを見ると“大人になった『恋する女たち』”と書かれていますが、三者三様な女性が描かれるのと、主人公(『恋する』は斉藤由貴さん、『天使』は高岡早紀さん)のチョット哲学的な古風な考え方や髪型が似ていること位でした。
ティーチインによると、松本清張・原作の『張り込み』をリメイクしようと思って企画したら、新米刑事を女性にしよう、そうしたら張り込む相手は男だな、一日中自宅にいる男と言ったら旅館の主だ・・・と脚色して行ったら、原型がなくなってしまったそうです。
刑事役の高岡さんと岸部一徳の会話シーンがほとんどなのですが、張り込まれる男の筒井道隆君、その妻の河合美智子さんのカメラを意識していない(設定上できない)自然体の演技が見られますし、登場シーンとしては少ないながら殺人犯役の山本未來さんの緊張感ある演技は見ごたえがありました。ティーチインでは、「二年前の撮影で記憶にない」とか言っていましたが、一番おいしい役をものすごい理解度で演じていたんだね、と監督と未來さんが話していました。
下北沢の映画館一館でしか一般公開しないのは勿体ないです。
○青燕・・・日本占領時代、韓国人初の女性飛行士の実話を基にした物語です。日本(立川)が舞台ということで、韓国映画と縁の深い仲村トオル氏、ユミンこと笛木優子さんも出演しています。笛木さんの敵役(途中からは、一番の理解者になりますが)は、良かったですよ。この作品があって、ドラマ『アテンションプリーズ』の先輩CA役があるのだなと理解出来ました。
さて、東京国際映画祭では、大山倍達(『風のファイター』)、力道山と3年続けて実在の人物の、しかも日本を舞台にした伝記物が上映されることになります。まず、主演のチャン・ジェヨンの日本語が本当に流暢なのに驚きますし、当時の風俗についても研究されており、『風のファイター』の時のような突っ込み所は少なかったように思いますが、如何でしょうか?
実在の物語なので、ハッピーエンドにならないとしても仕方がありませんが、前半のサクセス・ストーリーや富豪の息子との恋話も、後半になり戦争の気配が感じられるようになってくると辛いエピソードが続きます。特に“赤狩り”の拷問シーンは見ていて、胸が痛くなりました。
単純に楽しいという映画ではありませんが、夢に向かって頑張る素晴らしさは伝わってきますし、色々考えさせられる映画でした。
○クブラドール・・・モスクワ映画祭やインドのニューデリー映画祭で絶賛を浴びてきたフィリピン映画です。スラム街でキリスト教を信仰しながら、数字合わせのギャンブルの注文聞きを生業とする熟年女性が主人公。これが非常にリアルなんです。本当にその人がスラム街に生活しているのではないかと思ってしまします。
彼女は大切な息子が戦死しているのだけど、それを認めておらず、常に影が寄り添っています。また、警察と鬼ごっこの毎日からも抜け出さなければとは分かってはいる様子。そんな心情を表現するように、細い路地が重なるスラム街は迷路のように行き止まりに迷い込んでしまいます。
もしかするとドラマ的な要素はなく、拳銃発砲事件が発生したとしても、それがフィリピンのスラム街の現実なのではないかと思わせる空気、温度、湿度・・・が迫ってきます。
この作品も娯楽作ではありませんが、ものすごく衝撃的で、ある種の新鮮さを覚えた作品でした。
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